一般信用で株主優待クロス
株主優待
個別株を権利日に受け渡しベースで保有していると、株式によっては配当金や株主優待を受け取ることができます。
私も複数の個別株を保有しており、先月にはJTから24個ものカップ麺を受け取りました。

世の中にはこの株主優待を目的に個別株を保有する投資家も多くいます。
有名なのは桐谷さんでしょうか。

雑誌や週刊誌などに引っ張りだこだよね
一般信用で株主優待クロス
株主優待は権利日に信用取引ではなく現物取引で株式を保有することで権利を得ます。
そのため現物取引での買いと信用取引での売りを同株数組み合わせると、価格変動リスクゼロで株主優待の権利だけ得ることが可能。
コストは売買手数料と買い方金利・売り方品貸料。
これが株主優待クロス。

価格変動リスクゼロって凄い!
但し注意が必要なのは制度信用での逆日歩。
制度信用では信用売りできる銘柄が多いものの、売りたい人が多い場合は逆日歩と呼ばれる上乗せ品貸料を払わなくてはならないケースがあります。
厄介なのは逆日歩が発生したかどうかやその水準は翌営業日にならないとわからないこと。

超高額な逆日歩が発生すると悲劇…
数千円を狙って数万円の持ち出しになることも…
一方でこの逆日歩リスクを回避する方法が一般信用で売る方法。
証券会社によって売れる銘柄が異なりますが、一般信用なら逆日歩は発生せず。
そのため権利月になる前から一般信用で売れる玉の争奪戦が繰り広げられる銘柄もあります…
信用取引の配当落調整金
信用取引で発生する配当落調整金
株主優待を実施する企業はそのほぼ100%が配当も実施するでしょう。
現物で基準日に保有していればもちろん配当金を受け取り。
一方で信用取引の売り手は支払うことになります。
但し信用取引で基準日に建玉があることで発生するのは、配当金に相当する配当落調整金と呼ばれるもの。
信用取引でも買い手の場合は受け取れますが、配当金ではないので配当控除を利用できない点に要注意!

配当金全額を一旦前払いする売り手の配当落調整金
そして同じく注意が必要なことがあります。
それは源泉徴収あり特定口座を利用すると、損益通算前に現物保有で受け取る配当金よりも信用取引で支払う配当落調整金の方が多いこと。
配当金が1株あたり10円の株式を100株の1,000円で想定。
①現物で保有し配当金として受け取る金額は、
1,000円×{(100%-(15.315%+5%)}=796円
②制度・一般を問わず信用の買い建玉があり配当落調整金として受け取る金額は、
1,000円×(100%-15.315%)=846円
③制度信用の売り建玉があり配当落調整金として支払う金額は、
1,000円×(100%-15.315%)=846円
④一般信用の売り建玉があり配当落調整金として支払う金額は、
1,000円×(100%)=1,000円

何で違うの?
①の配当金として受け取ると、配当金額-{所得税(+復興税)+住民税の源泉徴収相当額}
②の信用の買い手で受け取ると、配当金額-所得税(+復興税)源泉徴収相当額
③の制度信用の売り手で支払うと②と同額
④の一般信用の売り手で支払うと税込配当金と同額
となるから。
SMBC日興証券のサイトにわかり易い説明が掲載されています。
口座残高が少ないと残高不足になるかも
支払う配当落調整金は経費になるので、最終的には特定口座内で損益通算されます。
⇒配当金と配当落調整金の受払はプラスマイナスゼロに
それでも売買に伴う損益と違い、受取配当金に対して源泉徴収されたお金が口座に入金されるのは翌年になってからが一般的であり税金分を前払いする形に。

支払いは先に、受け取りは後に…
売買はしないからと優待クロスをした口座の残高を少額のままにした場合、配当金と配当落調整金の受払で口座残高が不足する可能性があります。

維持率ギリギリで信用全力取引してる人も危険
SMBC日興証券の場合は支払いが発生する前日にメールで知らせてくれるようです。
尤もそこまでしてくれる証券会社は極少数。
優待クロスをした場合、想定される配当金受払月の口座残高は余裕をもたせるのがおススメ。