国内初信託報酬ゼロ%の野村スリーゼロ誕生
昨日明らかになり話題をさらっているのが野村スリーゼロ先進国株式投信。
何故話題かと言えば、投信を保有する際に必ず負担することになる信託報酬を驚異のゼロ%にしたこと。
この商品は野村アセットが運用し野村證券が販売、更に野村信託銀行が受託事務を行うというオール野村グループで運営します。
尤もいくらオール野村グループと言えども運用・販売・受託事務を行うにはコストがかかります。
信託報酬という手数料を全て0%の無料とすれば赤字は確実。
それでも最長10年間という期間限定ながら設定に踏み切ったのは相当な焦りがあるからでしょう…

野村の主要顧客層は70代以上なので、いくらガリバー野村でも無策はジリ貧になるよね
ちなみにベンチマークはMSCIコクサイ円換算・為替ノーヘッジ。
野村内部のコストだけでなく、MSCIに支払うコストもかなりの負担のはず。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)がSBIバンガードS&P500に即座に対抗値下げできなかったのも、S&Pに支払う高コストが障害になっていたようですし…
指数の利用料負担はどの投信にとっても厳しい…

ちなみに米国では2018年夏に一足早くゼロコスト投信が誕生済み。
日本国内で購入できないが残念…

野村スリーゼロを3月に販売開始の怪
野村スリーゼロはつみたてNISA専用
尤もこの野村スリーゼロ、誰でもいくらでも購入できるわけではありません。
なぜならつみたてNISA専用商品だから。
流石にいくら野村でも赤字垂れ流し商品を無制限に売ることはせず。
しかも信託報酬無料は2030年末まで。
それ以降は同カテゴリーでの最低水準。
今年いっぱいは投資意欲旺盛な新規顧客獲得数は限定的?
ここで不思議なのは野村スリーゼロの販売開始が3/16であること。
ご存知の通りつみたてNISAは暦年ベースで年初から1回でも購入していると、つみたてNISA口座を他金融機関に移すことは不可能。
既に2か月が経過しようとしている現在、つみたてNISA口座の利用者はいくらかは積立購入済みと考えられます。
その結果、今年の年末まで同じ金融機関でつみたて購入を継続せざるを得ません。
もちろん野村に移すこともできず。

1年間移せないのは不便だよね
既購入者の金融機関変更受付はまだまだ先の10月以降。
野村證券に若い顧客がいない焦りが生んだ商品?
ということで野村スリーゼロを通じ、野村證券が渇望する既につみたてNISAを利用中の投資意欲が旺盛で、且つ若い人の口座を獲得するのは早くても10月以降。
それでもこの時期に野村スリーゼロを発売するのは、未だつみたてNISA口座を開設していないその他大勢を取り込みにかかったからか?
丁度この3月末に野村のトップが交代するのにあわせて。
金融庁のデータによれば、2019年末のつみたてNISA口座数は189万あまり。

想像していたよりも少ないよね
既につみたてNISAを利用しているある程度金融リテラシーの高い人たちを除き、特に若い世代では野村證券といっても国内NO.1証券というイメージはないのかもしれません。
SBI証券や楽天証券は知っていても野村證券は知らず関心も無いとか..
そういう意味では信託報酬を0%にしても最長10年強なので発生するコストは限定的にして野村に興味を持ってもらい、且つ顧客になってもらう施策も成り立つのかも。
儲かる顧客になるかはわかりませんが…

不稼働口座はコストになるんだよね…
野村證券の地盤沈下は元金利・為替のプロップディーラーからしたら寂しい限りですけど…