本投稿内で言及している所得税と住民税で異なる申告方法は2022年分所得への対応で最後となります。
ホントに庶民いじめには余念がない政権…

サラリーマンの扶養に入っている主婦や学生などは損益通算後の所得が一定額を超えると扶養から外れるケースがあります。
扶養控除対象外になり税負担が増すだけでなく社会保険への自己加入負担が発生、更には扶養手当支給等の対象外になることも。
要注意です。
特定口座の損益通算とは?
個人投資家の多くは源泉徴収あり特定口座を利用していることでしょう。
1年間の売買損益に加えて受取配当金まで使って損益通算のうえ、金融機関が所得税・住民税の納付までやってくれます。
別途確定申告する必要もありません。

楽チンだね
扶養に入ってる主婦も使った方がいいよ

確定申告すると扶養控除から外れる危険性もあるし
但し貸株の貸株料は雑所得になるので要注意。
原則確定申告が必要です。

それでもこの特定口座での損益通算は、複数社の口座まで損益通算してくれるわけではありません。
例えばA社で100万円の利益をあげて20万円納税(税率20%で計算)し、B社で120万円の損失を計上。
この場合はAとBの口座を確定申告することで合計20万円の損失。
A社で納税した20万円が還付されます。
損益通算での税金還付額と国民健康保険料増加額を比較しよう
株式等の譲渡所得も国民健康保険料(国保税)の課税対象
自営業者や無職の人が加入する健康保険は国民健康保険。
通称国保。
サラリーマンや公務員が加入する健康保険組合や協会けんぽ・共済組合と違い、雇用主による折半負担がないので保険料は全額自費。
保険料(国保税)の基準となる所得は、基礎控除や青色申告控除以外殆ど認められないので国保税負担が重いのが難点。
医療分だけでなく介護保険分や後期高齢者への仕送り分まで合計すると、平等割・加入人数の均等割に加えて所得の10%超の所得割まで課されます。

今年度の負担上限は93万円…

上限変更は法改正不要なので毎年のように上がるし…
保険料の基準となる所得には事業所得だけでなく、不動産所得や給与所得・雑所得なども。
更には株式の譲渡所得や先物・FXなどの所得なども。
儲けは全て国保税の基準所得に含まれる…
特定口座の損益通算は税還付金額と国保税の上昇分を比較しよう
ここで注目すべきは源泉徴収あり特定口座取引分を確定申告しなければ、国保税の基準所得にカウントされないこと。
一方で確定申告した場合、住民税の申告不要のための申告をしないと特定口座の儲けは国保税算出の所得に含まれてしまうことに。
東京都小平市のHPにわかり易い説明がありました。
国保税は所得割が課されない一定所得以下の場合、2~7割が減免される制度があります。
そのため他の所得が少ない場合に特定口座分を確定申告すると、減免枠から外れてしまうが恐れがあります。
損益通算をして僅かの税還付を欲張ったばかりに、国保税の減免枠から外れたり減免割合が減らされることも…
更には所得割まで新たに課されたり…

踏んだり蹴ったりだ…
例えばA口座で500万円の儲け。
B口座で100万円の損。
他に所得は無く扶養家族も無しで介護保険負担のある40歳以上。
両口座を確定申告して損益通算し100万円×20.315%=203,150円が税還付。
しかし、A口座とB口座で差引400万円の所得があるとみなされ国保税の減免は無し。
更には所得割も【400万円-33万円(住民税基礎控除)】×10%超の所得割率。
20万円程の税還付を欲張ったばかりにそれ以上の国保税負担が発生…

逆に負担が増えてるよ…
上記は極端な例ですが、国保加入者は損得をよく確認の上で損益通算するか決めましょう。
なお確定申告で損益通算しても住民税を申告不要にすれば国保税の基準所得には含まれません。
ということで敢えて損益通算をする場合は、
①確定申告で損益通算し住民税は申告不要の申告
②確定申告で損益通算し住民税はそのまま何もせず
③確定申告しない
で、それぞれ還付税額と国保税負担増をちゃんと比較しましょう!
なお配当控除を適用するために確定申告する場合も要注意!
申告不要のための申告を活用しましょう!
