ヤフーがZOZOを子会社にするに驚く
9/12に一番驚いたことと言えば、ヤフーがZOZOを子会社にするというニュース。
お騒がせ社長だった前澤さんもTOBに応じて持ち株の大半を手放し社長から退任。

ビックリしたよね
TOB価格はZOZOの前日終値に2割のプレミアムが乗せられた水準のため、9/12は寄り付きから物凄い買いが集まりました。
しかしその後はTOB価格にも届かず失速。

何で?
ヤフーが買い付けるのはZOZOの発行済株式の最大50.1%。
これを超える申し込みが集まった場合、申し込みが按分されるというのがミソですね。
買い取ってもらえなかった分は売り急ぐでしょうから急落もあり得ます…

お祭りに参加しようかとも思ったけどやめといたよ…
株式は融資の担保になるが大株主の行動は世間に筒抜け
前澤さんは売却金額全額を自由に使えるわけではない
発表文によれば、前澤さんはZOZOの発行済株式の36.76%を保有中。
TOB価格の2,620円で計算すれば時価は約2,940億円。

凄すぎてピンとこない…
この内の大部分をTOBに応募の予定でその額約2,430億円。

少し減ったけどやっぱりピンと来ないよ…
しかし前澤さんはこのお金を全額貰えるわけではありません。
まず税金を引かれます。
創業社長であることから、前澤さんが出資した当時は相当安い単価と思われます。
しかも現在でもZOZOの資本金が僅か13億円程であることを勘案すれば、簿価がかなり低いので2,430億円の殆どが課税対象でしょう…

それでも得られるお金は巨額だよね
更にツラいのは、前澤さんは保有株のかなりの割合を銀行へ担保差し入れしていること。
銀行からお金を借りた際の担保の様です。
株価が下落した際、担保価値が下がったとして追加の担保差し入れを迫られたとも…

派手な生活や美術品収集などが報じられてたね
こういったケースでは、質権者(担保権者)である銀行に質権を解除してもらうためには借り入れを返済するしかないでしょう。
お金は前澤さんを素通りして銀行に返済されます。
結局、前澤さんの手元に残るのは借入を返済した残りだけ。

残りと言えども巨額だろうね…
但し他株主からのTOBへの申し込みが多い場合、前澤さんがTOB価格で売却できる株数が減るようです。
そうなると手にするお金はもっと減りそう…
大量保有報告書を通じて大株主の担保差し入れは公になる
それでは、なぜ前澤さんが保有株の多くを銀行に担保差し入れしていることが世間に知れ渡っているのか?
それは大量保有報告書と関係しています。
大量保有報告書とは、発行済み株式の5%以上を保有すると保有株の増減などを報告しなくてはならない制度。
5%ルールともいわれます。

何となく聞いたことあるよ
5%以上も保有する大株主の行動は影響が大きく株価の変動要因になるので、一般投資家を保護するための制度として制定されました。
その報告義務の中に担保設定も含まれているのです。
私もM&A Onlineという大量保有報告書の内容を教えてくれるメールマガジンで前澤さんの担保差し入れを以前見た気がします。
追加で担保差し入れすればその都度報告の義務があり、且つその内容が公開されます。
ちなみに報告義務者は担保差し入れ者である株式保有者。
保有者からしたら、

大きなお世話だよ
と言いたいところでしょうが、株式市場を健全に保つためには必要な制度。
例えばあまりにも多くの株式に担保が設定され、資金難などから実際に担保権が執行されるといずれ換金されるので株価の下落圧力になります。
銀行員時代に株券を担保に取ったことがある
私も銀行員の頃に株式を担保にとったことを思い出しました。
大量保有報告書に記載されるような大株主ではなく小口の株主ですが。
尤も当時は株券の電子化などされておらずまさしく紙ベースの株券。
裏面にはその株式を保有してきた個人を含めた代々の保有者名が記入され、印鑑も押印されていました。

生保や銀行など金融機関が多かったかな?
電子化された現在とは違い、質権を設定する際は銀行などの質権者が株券の現物と確定日付を取った質権設定契約証書を占有していたのです。
幸いにして私が担当したその取引先は融資が焦げ付くこともなく、無事に株券を返却しました。

よかったね!