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【未払い利息】変動型住宅ローンを延滞せず返済しても逆に借金が増えた平成初期

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住宅ローンを借り入れて延滞せずに返済を続ける。
しかし、返済しても返済しても逆に借金が増えてしまう。

ウソだろ?
あり得ない!

という信じられないことが、それもかなり多くの人の身に降りかかった時代があります。
それが平成の初期。

カラクリは金融政策と住宅ローンの商品性にありました。
以下で、なぜこのような事態が発生したのかを見ていきます。
そして、詳細を知れば今後も起こり得ることだとわかるはずです…

金融政策により住宅ローン金利が急上昇

バブル期は株価や不動産価格が急騰する資産インフレの時代であった一方、物価の上昇は抑制されていました。

そのため、日銀による金融引き締めは後手を踏み最初の利上げは1989年5月。
その後1990年9月までという短期間に合計3.5%の利上げを実施。
それを受け、住宅ローン金利の基になる短期プライムレートや旧長期プライムレートも急上昇しました。

当時も固定型より金利が低いということで変動金利型が選好されており影響は甚大。
標準的な変動型住宅ローン金利も6%弱⇒8%超へと急上昇。

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出典:住宅金融支援機構

バブル末期(平成初期)には5年物利付金融債利回りが9.6%を超えていた
1990年に発行された利付金融債の中には、利回りが9.6%を超えるものもあった。当時は取扱金融機関の前に開店前から個人の行列ができた。一方、それらが一斉に満期を迎えた1995年には、逆に預け替えを狙う金融機関担当者が群がった。

元利均等返済方式と変動型住宅ローンの仕組み

元利均等返済方式とは?

住宅ローンの返済には元金均等方式と元利均等方式があり、一般的なのは元利均等方式。
返済額に占める元金と利息の内訳は都度変わるものの、金利が不変と仮定すれば双方を合計した毎月の返済金(引き落とされる金額)が一定となり返済計画を立てやすいため。
尤も、現金均等方式よりも総返済額は多くなります…

元利の内訳が変化していく例を見てみます。
下記の表は1,000万円を期間30年5%で借り入れた際の内訳例。
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そして、これをイメージ化したものが下記のグラフ。uchiwake

金利が不変で返済額が最初から最後まで一定とすると、返済額に対する内訳では最初は利息の割合(左軸)が多いため、なかなかピンクの元金(右軸)が減っていきません
但し、返済が進む(右側に進む)と、返済額の殆どが元金返済に充当されるため元金の減少スピードも加速します。
このことから、借り入れして暫くは未返済元金の残高も多いため、金利が上昇した場合の影響も大きいことがわかります。

変動型住宅ローンの商品性と問題点・注意点

金利が変動型といっても、金利が変動する都度毎月の返済額も変わるわけではありません。

一般的な変動型住宅ローンの特徴は、
金利見直しは半年毎
元利合算返済額(引き落とされる金額)の見直しは5年毎
のタイミングで返済額が増加しても、それまでの1.25倍までにしか増加しない
です。

元金返済が想定したよりも遅れるケース

例えば金利が上昇したとします。
支払わなくてはならない利息が増加するため、本来は毎月返済額も増加するはず。
しかし、上記の5年毎見直しルールがあるため返済額は変わらず。

助かった!
返済額は増えない。

ことはそう簡単ではありません。
なぜなら元利合算の返済額が不変なので、毎月の返済額に占める利息分の割合が増加し元金返済分の割合が減少
⇒当初想定したよりも元金返済スピードが遅くなってしまう
ため。

そうなると当初想定した返済ペースに追いつくために、5年毎に訪れる返済額変更時に毎月返済額が大幅に増える可能性があります…

元金返済スピードが更に遅れるケース

更に問題なのが
いくら金利が上昇しても、の縛りで5年毎に変更される毎月の元利合算返済額はそれまでの1.25倍に収まります。

助かった。
それなら何とか返済できる!

と考えるのも早計。

本来は返済ペースが当初想定ペースに追いつくように、場合によってはそれまでの1.25倍を超える金額まで返済額を増やさなくてはならないのに、の縛りがあって出来ない
⇒更に返済ペースが遅れる
ことになり得るから。
問題(返済負担)の先送りです…

返済しても返済しても借金が増えるケース

上記までは、まだいくらかでも未返済元金が減っていきます。
しかし、中には延滞せずに返済を続けても借金が増えてしまうケースもあり得ます。
そして実際に発生しました!
それが平成初期の出来事。

生まれてないし、知るかよそんなこと!

知っておいた方がいいよ!
今後ローンを借りるかもしれないから。

冒頭の通りあまりにも急激に金利が上昇。
金利見直しが実施された際、借り入れて間もないなど未返済元金が多く、且つ返済期間の長い借入者の毎月返済額に占める利息の割合が100%に達してしまったのです。

しかも、正確には支払うべき利息の額が毎月返済額を超えてしまいました。
前記返済額の表でいえば、毎月返済額である53,682円を利息だけで突き抜けてしまう事態。
借り入れ初期は元利合算返済額の殆どを利息が占めているため、金利上昇へのバッファーが少なく小幅の金利上昇でも突き抜けやすくなります…

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ではどうなるか?
突き抜けた分は未払い利息として新たな借金(債務)になってしまったのです。
孫利息(利息に課される利息)は課されませんが、返済しなくてはならないことに変わりはなし。
本来支払うべき利息すら賄えていないので、未払い利息が発生している間は返済を続けても元金は一切減らず、逆に元利合算の借金(債務)が増える一方…

何だよそれ!
返済しても借金増えるなんてふざけるな!

この状態が解消されるのは次のいずれかによります。
金利が下がる
自主的に金融機関と相談し毎月の元利合算返済額を増額する
です。

しかも、返済するお金はまず未払い利息に充てられ、それがゼロ円になって初めて通常の返済が再開されます。
それまでは元金返済は止まったまま…
もちろんその間も元金に対する通常の利息は課されます…

酷い話…

平成初期のこの事態は、バブル崩壊に伴う金融緩和で金利が急速に低下したため徐々に解消されました。
それでも数年間は毎月の返済が未払い利息の返済に充当され続け、元金が減らない借入者も実際に存在しました。
もし金利が高止まっていたら更に影響は大きくなっていたはず…

変動金利型住宅ローン借入者が覚えておくべき注意点

現在は日銀によるマイナス金利政策が導入されており、且つ金融機関による貸し出し競争も熾烈。
結果として、とても低い金利で住宅ローンを借り入れ出来ます。
しかし、変動金利型住宅ローンには前記の通り返済額変更に関する特殊ルールがあります。

FEDによる利上げ停止が視野に入り世界的に金利が急低下していますが、多くの国で放漫財政によるリスクププレミアム拡大の可能性は残ります。
今後急激な金利上昇が発生した場合、30年以上の時を経て再び未払い利息が発生する事態にならないとも限りません。

現在は変動型で借りて低金利の恩恵を享受するとしても、金利が上昇し返済負担が高まった場合の家計収支をイメージすることも必要でしょう。
超低金利が生涯続くことを前提にした返済計画はとても危険です。