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農中がCLO(ローン担保証券)を6兆円以上も保有しているけど大丈夫?~奨励金負担が足枷

nouchuu

農林中央金庫(農中)がCLOを大量保有中

金融庁が農中をはじめとした大手金融に一斉調査を実施

金融庁が1月にメガバンクや農中など国内大手7金融グループに対して一斉調査を実施した

と、先月末にBloombergが報じました。
調査対象になったのは、3大メガバンクと農中(農林中央金庫)・ゆうちょなど。
問題になったのはCLOと呼ばれるローン担保証券。
今月末にはCLOをはじめとした証券化商品の保有に関し、新たな規制も導入されます。

CLOは大量のローン債権(貸出)を集め、それらのローン債権を裏付けに発行される証券化商品。
CLO保有者は元々の債務者が支払う元利金で投資金を回収します。
ちなみにリーマンショックのきっかけとなったサブプライムショックも、サブライム住宅ローンを証券化した証券化商品の棄損(裏付け住宅ローンの延滞急増)をきっかけに発生しています。

金融庁はCLO保有残高の大きい三菱UFJグループ、農中、ゆうちょに重点的な調査を実施とのこと。
記事によれば、農中は2018年3月末時点の3.8兆円⇒2018年末時点で6.8兆円と急増。
農中は欧米CLO市場で大きなプレゼンスを誇っておりメインプレーヤーの一角。

なお、企業などが発行する債券を裏付けとした証券化商品はCBOと呼ばれます。

農中がCLOを大量保有するのは負担の大きい奨励金のため

農中は全中の中の金融部門の中核。
組合員である農家のお金を末端の農協が集め、それを更に吸い上げて運用する巨大機関投資家。

一方、農協は農中から奨励金と呼ばれる対価を得ます。
預金でいう利子のようなもの。
この奨励金の水準が問題なのです。
現在0.6%。

マイナス金利下なのに、農家からお金を集めて農中に預けるだけで農協は0.6%も貰えます。
調達コストは農協版預金保険のコストを引いても0.1%も無いのに…

農協が農林中金に余資を預金するとボロ儲けなので、農中はその負担に耐えられなくなった
日本で最強の組織である農協。その農協の銀行部門最上位が農林中央金庫。末端のJAバンクが集めた貯金を直接、もしくは信連経由で受け入れているが年率0.6%の奨励金負担が重く、奨励金水準を引き下げる見通し。異次元緩和政策が農業政策にも影響している。

流石の農中もこの高負担に耐えられず漸次水準を引き下げるようですが、それでも大きな負担であることに変わりはなし。
その負担に対する答えの一つが高利回りCLOへの投資というわけ。
尤も、CLOの利回りが高めということは、他の投資対象よりもリスクが大きいということ。

リスク管理に問題はないといいますが、農中はサブプライムショック・リーマンショック時に多額の損失を計上し、下部農協などから出資を受け入れる事態に追い込まれました。
ほぼデフォルトが発生しないと考えられるAAA格付だからと購入したものの、一気にダウングレードを食らった商品もあったみたい…
無理な投資行動の元となる奨励金制度を根本的に見直さないと、「歴史は繰り返す」ことに成りかねません…

なお、CLOの仕組み・問題点を下記に掲載します。
興味のある方は引き続きご覧ください。

え?
そんな酷いこともやってたの?

というオマケ付きです。

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CLOの仕組みと問題点

CLOの仕組み

リスク分散が働く

前記の通り、CLOは数多くのローン債権を裏付けとした証券化商品。
ローン債務者が多数いるのでリスク分散が働きます。

例えば同じ100億円の投融資でも、1社に100億円を貸した場合にその1社がデフォルトすれば100%デフォルト。
一方、100万円のローン債権1万本の100億円が裏付けならば、十分にリスク分散が可能。
そして、大企業への貸し出しや大企業が発行する社債などより高利回りであることが多い金融商品。

証券化の仕組み

例えば、数千本のローン債権をかき集め「A」というグループ(100億円)を作ります。
そしてその「A」を裏付けとしてシニアα(30億円)・メザニンβ(50億円)・劣後γ(20億円)という3種類のCLOを発行。

ローンの借り手が支払った元利金はまずαに支払われ、αの分が一杯になるとβに、更にβの分が一杯になるとγに支払われます。
要は、α・β・γの順に優先的に支払われる仕組み。
このためαはβより、βはγより低リスク。

これらを反映するため、このCLOの利回りはα・β・γの順に高くなると同時に格付けは悪化していきます。
例えばαは利回り1%でAAA、βは利回り3%でBBB、γは利回り10%でBなど。

ローンの借り手が延滞しデフォルトが発生すると、元利金支払いとは逆でγ・β・αの順に影響を受けることに。

CLOの問題点

実はリスクが十分に分散されてない可能性

CLOなどの証券化商品の利点はリスク分散が働くこと。
しかし、実はリスク分散が十分に働かない例も。

例えば、裏付けとなる中小企業向けローンの借り主は1万社にのぼり十分に分散されている。
しかし、実はその借り主の多くが自動車業界の企業だった。
そんな中、自動車業界が不況に陥ってしまう。
生産工場が海外に移転するなどで下請け企業の経営が悪化。
結果、このCLOの裏付け資産となっているローン債権の塊のデフォルト率が、想定よりも大幅に高くなってしまった。

これは裏付け資産となるローン債務者の属性に偏りがある例。
CLOを購入する際は裏付け資産の査定を行いますが、分析が不十分だとこういった事態も起こり得ます。
ディスクロージャーの水準にも問題は残ります。

CLOの投資家層が薄い

加えて深刻なのがCLOの投資家層が薄いこと。
メインプレーヤーは機関投資家であり、彼らはCLO以外にもいろいろな資産に投資しています。

急激に経済状況が悪化する局面では、CLOに追加投資するどころではなく逆にあらゆるリスク性資産を売り急ごうとします。
買い手が消える(流動性が枯渇する)状況。
売るに売れません…
それが起こったのがまさにリーマンショック…

農中のように自分がメインプレーヤーであれば、保有する大量のCLOの買い手を他に見つけることは至難の業…

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おまけ~証券化を多段階で行う詐欺まがいの商品

証券化商品を更に証券化する

多くのケースで証券化は1階層。
つまり、ローン債権や債券を裏付けにCLOやCBOを発行。
前記の通りCLO・CBOは弁済順位が高い順に、それぞれシニア(優先)・メザニン・劣後が発行されます。

しかし、ここでもう一工夫。
世の中には、CLO・CBOがそれこそ星の数のようにたくさん発行されています。
そこで、複数のメザニンや劣後CLO・CBOをかき集めます。
例えば、B格の劣後CLO・CBOを数千本かき集めてYYYという100億円の母集団に。

次に、YYYを裏付け資産にしたシニア甲(5億円)・メザニン乙(20億円)・劣後丙(75億円)という3つの証券化商品を組成。
シニア甲は金額は少ないものの、YYYの中では相対的に最も弁済順位が高いとしてAAAの格付け。
メザニン乙はBB、劣後丙はBという格付けを得ます。

しかし、もともとシニア甲はYYYという母集団の一部。
YYYは元々B格の寄せ集め。

あれ?
B格がAAA格に化けた?

そうです。
元々は弁済順位の最も低い劣後の一次CLOの寄せ集めだったのに、もう一階層の証券化を行うことでAAA格の証券化商品が誕生した瞬間です!
ゴミの中では相対的に弁済順位は高いですがゴミはゴミ…

強欲にも更に証券化

しかし話はこれで終わりません。
B格の丙を大量にかき集めて再度同じことを行います。
すると少額なものの、またまたAAA格の証券化商品が誕生。
しかし、当然ながらそれらは元々B格である劣後部分の更に劣後部分…

これらは2000年代に実際に行われた手法であり、こうした商品をサブプライムショック・リーマンショック前に購入した投資家たちは多額の損失を計上しました。
組成に関わったのは有名な投資銀行(証券会社)たち…
手数料欲しさに格付け会社が加担したからこそ成し得たスキーム…
内容を吟味せず格付けという砂上の楼閣を崇拝した結果です…

ちなみに、映画「ハゲタカ」でスタンリーブラザーズが組成し、鷲津ファンドに詐欺まがいと酷評された「オルトx」は、住宅ローンを対象にしたこの種の証券化商品と考えられます。

以上、ゴミがお宝に化けたけど、やっぱりゴミだったお話でした…