年金制度についていろいろとご紹介してきましたが、

結局のところ、公的年金って得なの?
それとも損なの?
というのが今回の投稿の趣旨。
公的年金とは全員が受け取る1階部分の国民年金と、サラリーマン等が受け取る2階部分の厚生年金を言います。
下記内容は一つの考え方です。
なお年金に関する記事一覧は「年金を知り将来に備える」をご覧ください。

結論⇒長生きして微妙、短命なら割安な保険機能
いきなりの結論です。
結論としては無事にそこそこ長生きできて微妙、受取前にトラブルとなればかなりお得(お得な状況に陥りたくはありませんが…)。
超長生きならお得ですね、きっと。
支払済み保険料分を年金受給で取り戻すには結構な長生きが必要。
2号被保険者の保険料は労使で折半といっても、本来は給料になるはずのお金ですし。
更に受給を始めて間もない時点で他界した場合、損得でいえばはっきり言って損。
しかし、いざという時のために生命保険と医療・傷害保険に掛け捨てで加入していたと考えればかなりリーズナブル。
公的年金最大のメリットは障害年金・遺族年金といった、いざというときのための割安なセーフティネットです。
一方でデメリットは需給水準の確実な悪化。
年金は無くなるからとか手元にお金が無いからと国民年金を滞納していると、いざ障害を負った際に収入が途絶えて生きていくことが困難になるので、やはりちゃんと支払うことをお勧めします。
以下は結論に至るまでのメリット・デメリット考察です。
日本の公的年金制度のメリット
まずは公的年金のメリットから。
①(制度が存続すれば。以下同様)老後に働かなくても収入を得ることが出来る。
②一定の滞納が無ければ障害者になった場合に障害年金が、加入者が他界した場合に遺族に遺族年金が支払われる。
老後の収入源
将来年を取って引退した場合に収入の柱となります(あくまでも最低限の収入であり、自助努力が必要ですけど)。
もちろん制度が存続していればの話ですが。
障害年金、遺族年金
これは一種の保険(セーフティーネット)。
障害を負えば働くことが困難になり収入が途絶えますが、滞納していなければ一定の収入を得られます。
また遺された家族にも一定の条件でお金が支払われます(扶養者に養われていた子供とその妻。)。
生きていれば年金を受け取れるうえに生命保険オプションがついていると考えれば、公的年金の保険料は民間生保の保険料よりも相当に割安。
公的年金のデメリット
いよいよデメリット。
ずばり、
①制度存続への不安が消えない⇒おそらく存続するけど…
②給付水準が確実に低下
③激しいインフレに弱い
です。
制度存続への不安が消えない
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用・管理する年金資産は、2018年6月末現在で約161兆円。
巨額に感じますが、団塊の世代が受給者になり今後は支払額が急増。
国は対策として受取年金額の伸びを物価上昇率以下に、且つ加入者(現役で働いている人)の賃金上昇率の伸び以下に抑えるマクロ経済スライドを実施することで抑えようとしています。
経済成長率の見通しをかなり甘く見ているので、100年安心の年金といってはいますがかなり厳しい状況。
それでも制度を全くのゼロにすると、それこそ国家がひっくり返ります。
給付額を相当減額してでも何とか制度自体は残すのでしょう。
給付水準が確実に低下する
「所得代替率」という言葉があります。
制度を支えるその時点の現役の加入者が得る賃金の何%を、その時点の年金受給者が受け取るのかという割合です。
ちなみに現在は62%ほど。
これが25年後には50%割れになると推測されます。
現役の働き手が月に30万円を得ていれば、年金受給者は月に15万円以下。
15万円よりもかなり少なくなるという推計も。
相当に厳しい水準です。
激しいインフレに弱い
現在は日銀により金利が抑え込まれて国の利払い負担が軽減されているのに、国の財政状況悪化は加速中…
財政状況悪化を嫌気し将来的にインフレ率が上昇した場合(悪い金利上昇)、物価の伸びが賃金の伸びを上回る可能性があります。
マクロ経済スライドにより物価が上がっても年金給付水準は賃金の伸び以下に抑え込まれるので、実質的な購買力は下がります。
最も厳しい状態でしょう。