苦境が続く大塚家具
実父である創業者と現社長が対立し、会社から事実上追放して3年が経過。
それまでの高価格帯商品の取り扱いから中価格帯にシフトするも苦戦が続くのがご存知大塚家具。
大盤振る舞いの配当で社外流出が生じたうえ、業績不振で手元現金が急激に減少。
以前は無借金の上に超潤沢な流動性を保有していたものの、つい最近には銀行株を売却して現金を捻出したとの報道も。
もちろん株価も冴えません…

要管理先に分類との一部報道
要管理先は不良債権であり貸出を回収方針
その大塚家具に関し、一部の銀行が債務者区分を要管理先に引き下げたとの一部報道がなされています。
債務者区分とは銀行が自己査定で債務者を格付けした結果。
債務者区分が注目されるのは、債務者区分によって銀行の貸し出し態度が決まるから。
要管理先は大分類では要注意先に含まれるものの、金融庁による分類では「不良債権」扱い。
通常は与信額の維持も難しく回収方針になります。
以前東芝が正常先から要注意先に引き下げれたうえ、当時の三菱東京UFJ銀行は一段階下の要管理先まで引き下げ。
その結果、3か月で与信額を40%も回収し与信のメイン行寄せが進行。

コミットメントライン(融資枠)を使えない
現在も大塚家具は無借金であり、銀行から直ちに借入を回収されることはありません。
しかし問題はコミットメントラインと呼ばれる融資枠。
定期的に期限は更新されるものの、一度契約を結べば期限内なら融資枠の範囲内でいつでも借り入れが可能。
大塚家具は昨年末の段階で50億円の枠を銀行と契約済。
通常こうしたコミットメントラインにはコベナンツ条項と呼ばれる規定が設けられます。
例として、不渡りを出したり財務内容が一定の水準よりも悪化した場合には融資枠を凍結する。
前記銀行が実施する自己査定で債務者区分が一定の水準まで悪化したら融資枠を凍結する、などです。
大塚家具も銀行による格付けが要管理先まで下がった場合、融資枠が凍結されるというコベナンツ条項を設置し抵触した模様。
こうなると現金が枯渇しても融資枠は使えず。
しかも銀行は要管理先の大塚家具に対して、優良担保・保証なしに新規に貸し出しをすることは無いでしょう。
優良担保・保証付きならば、例え自己査定で破たん先と分類しても回収がほぼ確実な正常債権なのですけど。
大塚家具のこれから
コミットメントラインが使えず新規の借入も難しい。
直近の有価証券報告書によれば、家具・差入保証金で合計141億円余りを新規に担保設定済み。
但し前記の通りコミットメントラインは50億円なので、他に家具の仕入れ先に差し入れたり輸入に必要なユーザンス(輸入信用状)の担保になっているのか?
最大の問題点は業績が改善せず資金流出が止まらないこと。
いずれにしても現在の大塚家具が取れる選択肢は限定的。
①資産の換金
前記銀行株の売却などのように売れる資産を売る。
最初は営業に直接関係のない株式や不動産など。
その後は、なりふり構わずでしょうか…
②身売り
一部報道にもありますが家電量販店や既に大株主のTKPなど。
苦境が続く現在の営業体制の下でV字回復は見込みにくい…
先週買い物に行った際、たまたま大塚家具の某ショールームを訪れました。
普段は殆ど客がおらず目立つのは店員ばかりなものの、最大80%オフと称したセールのおかげか意外なほど客がいて購入している様子でした。
何とか踏ん張って欲しいけど…