前回の「年金の仕組みを知る①」では、自分が何号被保険者に該当しその結果どの公的年金に加入するかを確認しました。

今回は2号被保険者(サラリーマン・公務員等)が公的年金である国民年金・厚生年金に上乗せして加入する(貰える)私的年金について。
年金についての投稿一覧は「年金を知り将来に備える」をご覧ください。

2号被保険者の上乗せ私的年金
サラリーマン等の2号被保険者については、企業が福利厚生の一環として上乗せ私的年金制度を作っているケースがあります。
国民年金を1階、厚生年金を2階とすると私的年金は3階。
一般的に企業年金と呼ばれます。
もし企業年金制度がある企業に勤務しているなら、強制加入の国民年金・厚生年金と合わせて受け取れるのでかなり恵まれていると言えます。
2012年までは適格年金という制度もありましたが廃止。
この廃止された適格年金や2014年4月以降に解散した厚生年金基金の受け皿として、企業が掛け金を負担する中退共(中小企業退職金共済制度)という制度があります。
年金方式ではなく退職一時金方式のため、上記一覧表には掲載していません。
この中退共には国が掛け金の一部を助成する制度があります。
3階部分の企業年金には大きく分けて、年金資産の運用と給付額に誰が責任を持つかで2種類があります。
年金額を確保するため、誰が運用に責任を持つか?
確定給付企業年金
企業が運用資金を拠出し、実際に給付される年金額まで責任を持つ場合は確定給付企業年金(金利により受取額がレンジ内で変化するキャッシュバランスプランを含む)。
公務員の場合は以前は職域加算で現在は年金払い退職給付。

金利変動・株価の上下等の市場リスクを企業が負うので不足が生じれば企業が負担。
将来に渡り給付を約束した額の割引現在価値は退職給付債務(PBO)と呼ばれます。
大企業では1兆円を超えることも!
企業型確定拠出年金(企業型DC)
企業が運用資金を拠出し、従業員が運用する場合は企業型確定拠出年金(企業型DC)。
資金を出した時点で企業の責任は終了、増えるか減るかは各従業員の運用次第。
企業型DCでは近年の法改正で企業が資金を出すだけでなく、限度額の範囲内で従業員も自己資金を出すマッチング拠出が可能になりました。
従業員拠出分は所得控除の対象で節税になります。
下記表は企業型DCと個人型確定拠出年金(iDeCo)の比較。
iDeCoと違い運営管理機関(窓口金融機関)への手数料が会社持ちのうえ、投資教育もやってくれるのでかなり恵まれています。
但し運営管理機関は事実上会社が決めるので、低信託報酬型投信などの魅力的な商品があるとは限らず…
一時は主流だった厚生年金基金
以前は公的年金である厚生年金の一部を企業側が代行して運用する厚生年金基金が多く運営されていました。
想定利回りを上回って上手に運用すれば、加入者に上乗せして給付することも可能に。
しかしバブル崩壊により代行部分の運用で課された想定利回りを確保できず(マイナス運用も頻出)、企業側が巨額の追加負担に追い込まれる事態が続出。
そのため代行部分を国に返上し解散する厚生年金基金が続出して現在では少数派に。
代行返上した後は前記確定給付企業年金(基金型or規約型)になります。
厚生年金と厚生年金基金は全くの別物!
厚生年金と厚生年金基金は名前が似ているものの全くの別物。
厚生年金はサラリーマン等が強制的に加入する公的年金。
一方で厚生年金基金は企業が運営する私的年金。
公的年金である厚生年金の一部を代行運用する組織です。
前記の通り代行分を返上すると解散。
その後、確定給付企業年金を運営する際になっても企業が運用する場合は確定給付企業年金(基金型)と言われます。
一方で運用を生保などに任せる場合は確定給付企業年金(規約型)と言われます。
このあたりはやや専門的になってしましました…
2号被保険者もiDeCoに加入可能
勤務先に前記のような企業年金制度が無かったり、企業年金に加入していてもその企業年金の規約で認められている場合は、追加でiDeCoへの加入が可能な場合があります。
拠出限度額は加入している企業年金制度により異なりますので、詳細はiDeCo特集の際にご紹介します。