SBI証券のiDeCoで運用商品が大量に除外される
2018年5月1日に施行された改正確定拠出年金法の影響で、個人型・企業型を問わず確定拠出年金で採用する運用商品数に35本という上限が設定されました。

私も加入するSBI証券では上限の35本を大幅に上回る67本の商品をラインナップしているため、大量に商品数を削減することに。

スイッチングすると相場変動から取り残される
除外対象商品を保有している場合、除外が正式決定されると2018年4月30日時点で保有していた数量を超える分が強制的に換金されてしまいます。
超えていない分は継続保有できますが、超えている分は強制換金を待つか自発的に他商品にスイッチングしておくかを迫られます。

スイッチングにはタイムラグが発生する
ここで注意しなけてはならないのが、売り約定・資金化と買い約定間のタイムラグ。
ご存知の通り金融商品は約定後に資金化されるまで数営業日を要します。
スイッチングをすると、売り約定⇒資金化⇒買い約定の一連の流れを踏みます。
ということは、例えば同じカテゴリーに属しベンチマークを同じくする「国内株式インデックスファンドA」⇒「国内株式インデックスファンドB」にスイッチングする場合でも、売り約定の日と買い約定の日の間が数営業日空いてしまいます。
結果、その間に相場が大きく動くと相場変動から取り残されることになります。
相場が下がってくれれば高く売り安く買う形になりラッキーですが、逆になれば相場上昇から置いていかれます…
商品によりタイムラグの期間が違う
なお運用商品により発生するタイムラグの日数が違います。
基本的に売り注文が約定しそこから3~4営業日で資金化。
資金化した日に買いが約定します。
新興国の商品は売り約定から資金決済日までが長くなる傾向があります。
いずれにしても上記のようにスイッチング注文を発注し売り注文が約定してから、買い注文が約定するまで3~4営業日は空くことになります。
相場が荒れている場合、3営業日あれば相場水準が相当違う可能性もあります…
国内株投信⇒国内株投信にスイッチング
ここでは例として、SBI証券で除外されるニッセイ日経225インデックスファンド⇒残るDC日経225インデックスファンドAにスイッチングしてみます。
休場は無しと仮定。
8/13 スイッチング発注
8/14 運用指図
8/14 売り価格決定
8/20 買い価格決定
売りの価格決定日から買いの価格決定日まで4営業日を要します。
4営業日間は相場変動から置いて行かれます…
国際債券投信⇒国際債券投信にスイッチング
例として、除外される三井住友DC外国債券インデックスファンド⇒残る野村外国債券インデックスファンド(DC)にスイッチングしてみます。
ここでも休場は無しと仮定。
8/13 スイッチング発注
8/14 運用指図
8/15 売り価格決定
8/21 買い価格決定
こちらも売りの価格決定日から買いの価格決定日まで4営業日を要します。
その間の4営業日間は相場変動から置いて行かれます。
折角、同じベンチマークを利用したインデックスファンドなのに…
iDeCoで定期預金を保有している場合
ここで解決策の一つをご提案します。
それは拠出金の一部を定期預金に割り振っている場合。
なぜこのようなスイッチングをするかと言えば、
①定期預金は中途解約しても元本割れが無い
②定期預金の金利は無視できるくらい低い
から。
なお今回のパターンはSBI証券のiDeCoプランの場合。
行うオペレーションは、
①定期預金から買いたい商品にスイッチング
②除外される商品から定期預金にスイッチング
です。
ポイントは①のスイッチングと②のスイッチングを同日に行わないことです。
なぜなら定期預金⇒投信へのスイッチングと投信⇒定期預金へのスイッチングでは、それぞれ発注日から投信の買いと売りの価格決定日までに要する日数が違うから。
国内株投信⇒国内株投信(定期預金を介す)
定期預金を介し、前記と同様にニッセイ日経225インデックスファンド⇒DC日経225インデックスファンドAに移します。
定期預金⇒DC日経225インデックスファンドA
8/13 スイッチング発注
8/14 運用指図
8/16 買い価格決定
日経225インデックスファンド⇒定期預金
8/15 スイッチング発注
8/16 運用指図
8/16 売り価格決定
国際債券投信⇒国際債券投信(定期預金を介す)
ここでは定期預金を介し、三井住友DC外国債券インデックスファンド⇒野村外国債券インデックスファンド(DC)に移します。
定期預金⇒野村外国債券インデックスファンド
8/13 スイッチング発注
8/14 運用指図
8/17 買い価格決定
三井住友DC外国債券インデックス⇒定期預金
8/15 スイッチング発注
8/16 運用指図
8/17 売り価格決定
工夫の余地は他にもあるかな?
今回の国内株投信・国際債券投信のケースではいずれも、
①売りたい投信⇒定期預金のスイッチング発注
②2営業日後に定期預金⇒買いたい投信のスイッチング発注
を行うと、投信の価格決定日が売り買いで同日になることがわかります。
スイッチングしたい商品がそれぞれ同じベンチマークを採用している、且つ信託財産留保額が無いインデックスファンドですので、トラッキングエラーを除けばほぼ同価値で定期預金を介しスイッチングが可能。
尤も、買う総金額と売る総金額が若干ずれるのはやむを得ません。
なおスイッチングを発注する際は、休場日・取扱い休止日を必ず確認しましょう。
また、コールセンターに問い合わせたり最終的な発注の前段階まで実際に注文を入力するなど、実際に何営業日後に価格決定になるかご自身で必ず確認してください。
資金決済までの期間を含め制度は随時変わる可能性があります。
折角手間をかけても価格決定日がズレては辛い…
追記~実践
実際にやってみました。
定期預金⇒外債投信を実行し、2営業日後に外債投信⇒定期預金を実行。
外債投信の価格等決定日が同日になっています。