和キャピタルの助言や人材育成を以ってしても地銀の市場運用は相当厳しい

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地銀が市場で資金を運用するのは厳しい状況

和(なごみ)キャピタル

昨日、毎朝のようにテレ東のモーサテを見ていたところ、新顔のコメンテーターが出演していました。
和(なごみ)キャピタルという会社の人でした。

和キャピタル?
新手の和製ヘッジファンドか?
と思い検索してみると、静岡銀行で運用部門の部長を務めた人物が代表取締役の会社でした。
元地銀出身者の会社らしく、地域金融機関向けの投資助言と人材育成を柱にしている会社のようです。
検索してヒットした情報から、出演者も静岡銀行の運用部門に在籍していた人物のよう。

地銀にキャピタル重視の投資の必要性があるのはわかるけど

番組内の特集では、
地銀は今までローリスクでインカム重視の市場運用を実施。
最近は、ストラクチャードモノや私募投信などリスク選好度を高めている。
今後はインカムゲイン重視から、キャピタルゲイン重視に変える必要がある。
などと解説していました。
はその通りなので突っ込みどころはありません。
問題はです。

地銀が国債メインに運用していたのは理にかなっている

満期保有の国債投資は高度な専門知識不要

地銀などは、国債をメインに一旦購入したら満期まで保有するBuy And Holdを基本にしてきました。
保有期間中の相場変動により含み損益は発生しますが、満期まで持てば確実にそれなりの収益を得ることが出来ました。
しかも、高度な運用能力も不要です。
ここがポイントです。

大手銀行と違い地銀をはじめとした地域金融機関は人員が少なく、市場運用に携わる人員的な余裕も限定的です。
しかも、大手銀行などと違い支店の営業などと頻繁に転勤(異動)をするため、運用スキルを高める時間的余裕は乏しく、スキルを高めるインセンティブも働きません。
数年で不要になる高度な専門知識を、しゃにむになって勉強する人は少数派でしょう。

そのため、市場運用に明るくなくてもそれなりの収益を得られ、預貸ギャップを埋められる満期保有前提の国債への投資を運用の中心にするのは理にかなっていたのです。
満期保有勘定に入れていなければ、ローリング効果で評価益の発生した国債で益出しも出来ます。
複雑な投資商品でなければリスクも限定的で、運用に疎い経営陣でもリスクと全体像の把握も可能。

地銀の中でも、静岡銀行などの上位行ならばある程度の人員を割くと同時に、運用部門に長期間勤務させることも可能でしょう。
しかし、多くの地域金融機関では難しいのではないでしょうか。

マイナス金利政策が地銀の運用体制を窮地に追い込んだ

尤も、現在は国債中心の運用が通用しなくなりました。
マイナス金利政策の影響です。
10年長期国債の利回りは0.03%程度。
これでは、預金保険料さえ賄えません。

融資が伸びない中で資金は運用しなくてはならない。
しかし、リスクが限定的で満足な収益を得られる投資対象がない。
そうなれば、リスク選考度を高めるしか無い。

しかし、運用スキルに長けた人材はいない。
外債などに投資してみたが、トランプ大統領就任以降の長期金利上昇で巨額の含み損を抱えてしまった。

にっちもさっちもいかない状況に、地域金融機関は頭を抱えていることでしょう。

キャピタルゲイン重視の投資に進むも地獄、現状維持も地獄

ここで、和キャピタルが推奨するキャピタル重視の運用です。
高度な運用能力に長けた人材が不足する地域金融機関への投資助言や、人材育成をメイン事業にしている和キャピタルが本領発揮するとの狙いです。

しかし、地域金融機関は投資助言を受けても、その助言に内在するリスク・期待収益などを完全に理解できる経営陣がなかなかいません
また、運用現場の人員をトレーニングしてもらっても、直ぐに別部門などに異動させては無意味です。

結局、預貸ギャップを埋めつつある程度の収益を望むのであれば、
経営陣こそ運用のトレーニングを受ける。
運用担当者は異動間隔を長期にして、運用スキルを伸ばす。
運用の失敗を許容する覚悟を経営陣が持つ
ことなどが必要でしょう。
リスクを抱えることで進むは地獄です。

一方、これらを諦めることも可能です。
しかし、預貸ギャップは埋まらずジリ貧です。
現状維持も地獄です…

ちなみに、2017年3月期にはその静岡銀行も外債で370億円の損失を計上して損切り
それなりのノウハウのある上位地銀でも運用に苦労する中で、規模の小さい金融機関の苦悩は増すばかりでしょう…

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