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地震によるブロック塀倒壊に備え、使用者・賃借人も自らの責任で対処する必要がある

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地震発生の都度、コンクリートブロック塀倒壊による被害が発生

先月大阪府で発生した地震では多くの被害が発生。
中でも小学校のブロック塀が道路側に倒壊し小学生の女児が亡くなったことに関しては、とてもいたたまれず残念に思います。

大きな地震が発生する度に家屋の損壊や倒壊が報道され、同様に報じられるのがブロック塀の倒壊。
道路側に倒壊している映像を見たことがある方も多いと思います。
一昨年の熊本地震では、4メートルの高さから落下してきたブロックの下敷きになり男性が亡くなった事故なども発生しています。

ブロック塀は比較的低コストで設置も簡単なことから、古くから隣地との境界や道路側との境界に利用されてきました。
田舎の私の実家でも隣地との境界に設置しています。
尤も当初は安全性に関する規定・法規制がありませんでした。

しかし地中を掘り基礎を十分に作ることをせず、ブロックを上に積み上げていく際に鉄筋などを組み入れない場合は地震の揺れなどで倒壊するリスクがあります。
噛ましていない分、オモチャのブロックを積み上げている以上に揺れには弱くなります。
過去の大地震でも大きな被害が発生。
そこで問題になるのが、いざ被害が発生した場合の責任問題。

コンクリートブロック塀に対する法規制と対処

コンクリートブロック塀設置に関する法規制

これまで発生してきた多くの被害を受け行政も対応を実施しています。
具体的には1968年の十勝沖地震の被害をきっかけに最初の法規制がなされ、その後1978年の宮城県沖地震を受け大きな改正を実施。
2001年にも改正されています。
現在ではブロック塀の高さは原則2.2メートル以下で厚さは15㎝以上、中に組み入れる鉄筋や塀を補助するための擁壁、基礎の深さなどに法律で基準が定められています。

法規制がなされた後に基準に満たないブロック塀を設置すれば違法建築物。
但し法規制がなされる前に設置されたブロック塀に関しては、違法建築物ではなく既存不適格建築物と呼ばれ区別されます。
設置時は違法ではないから。

損害賠償責任を負うのは①使用者・占有者・借主、②所有者の順

しかし法的に合致していようとなかろうと、事故が発生した場合に損害賠償責任が降りかかる点に関しては同じ。

ブロック塀を原因にして事故などが発生した場合、民法の規定で損害賠償責任を負う順番は、
使用者・占有者・借主
物件所有者
となります。

但しの占有者・使用者・借主が相当な注意を払っていた場合は、の物件所有者が責任を負うことになります。
とはいえ相当の注意というのが曲者で、判断が裁判に持ち込まれることもあります。

いずれにせよ、借家の場合はまず物件の占有者・使用者・借主に損害賠償責任が生じるのです。
これは借主にとっては酷な内容。

そのため借主は大家に対して、
「もし大地震などが発生したら被害が出る可能性があるので、堅牢なモノに変えて欲しい。補修してほしい。」
などと交渉する必要があるでしょう。
それでも大家が補修・撤去などに応じない場合は、損害賠償責任の一部や全部が大家に及ぶ可能性があります。

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法律は利用できる人に有利に適用される傾向

こうした民法の知識は、不動産売買や賃貸業務に必要となる宅地建物取引士の資格試験に向けた勉強でも習得できます。
私も数年前に取得しました。

法律は知っている人・費用を払うことで利用できる人、に有利に適用される傾向があります。
法的知識を得るや自己啓発の一環として、取り組んでみてはいかがでしょうか?

宅建士の資格は今後の人生に使えるか?~実務経験が無いので恐らく厳しい
宅建士の資格を持っている。リゾート温泉地に移住したら、リゾート物件を取り扱う不動産会社が雇ってくれるかな?実務経験全くないけど。それにしても宅建士証を得るまでにお金がかかり過ぎる。特に都道府県が取り過ぎ。

ブロック塀撤去に補助金が交付される場合がある

いざ地震発生に伴いブロック塀が倒壊すると人的被害が発生する可能性が高いため、自治体によっては補助金を交付して安全なフェンスなどに改修を促しているところもあります。

7/1付読売新聞朝刊社会面に、

塀撤去 20府県補助なし

と題し、少なくとも26都府県の160市町村でコンクリートブロック塀の撤去や改修に補助金を交付していると報じています。

補助金を交付している市町村が多いのは、静岡県35・高知県29・宮城県20・愛知県14など。
総じて巨大地震が想定される地域や実際に被害が発生している地域で多い一方、西日本では少ない傾向があります。

補助金の仕組みで多いのは撤去費などの一部補助で上限10万円など。
実際に必要な費用はこれよりも多いのが普通です。
しかし補助金交付を受けられる地域に居住しているならば、いざ被害が発生した際に膨大な損害賠償金を負う可能性があることを勘案、早目に撤去・改修をしてみてはいかがでしょうか?

これもリスクヘッジの一つですし、何より人命を救うことにつながります。