マイナス収支が1年目からローン完済時まで続くマンション投資DMが来た

estate

某ネット銀行からマンション投資のDM

昨日、新聞の夕刊を取りにポストに行ったところ、某ネット銀行からのDMが入っていました。
内容は不明ながらとりあえず持ち帰って開封してみます。
すると現れたのは、某有名不動産仲介関連企業からのマンション投資のDMでした。

銀行の口座保有者に送付して、某ネット銀行が手数料稼ぎをしているようです。
流石に預金者情報を流すことはないでしょうから、興味があれば預金者が自らマンション業者に資料請求する形になります。
封筒に印字されたコードを記入して資料請求することで200円を貰え、個別面談すると更に5,000円を貰えるとあります…

投資対象物件と運営方式

物件概要

住所は不明ですが、東京の新宿区と中野区の境のあたり。
JR中央線や甲州街道より北側になります。
物件から最寄駅まで徒歩6分。
都営大江戸線最寄り駅から新宿駅までは最短10分ちょっとで到着します。

物件価格は2,890万円なので恐らく1LDKほどの新築マンション。
想定家賃は月額98,500円。

運営方式

巷でいろいろと話題に上っている業者による借り上げシステム(いわゆるサブリース)で、空室リスクが無く安心と謳っています。
また、家賃の5%をオーナーが負担して業者に管理業務を委託します。

マンション投資のセールストーク

表紙のうたい文句

DMの封筒にはカラー刷りのパンフレットが入っていました。
表紙のうたい文句は
将来を見すえた安定的な資産形成とは?
です。

通常、不動産投資は値上がり益狙いを除いて「投下資本に対する家賃収入と借入金返済等の差額」を如何に確保していくかを考えます。
しかし、パンフレットの趣旨は資産形成とあり「???」と感じました。

長期プライムレートに???

パンフレットを開くと、日銀によるマイナス金利政策が追い風にとの説明の下に金利が低下しているグラフが掲載されています。
しかし、描かれている金利が長期プライムレートです。
「???」です。

長期プライムレートとは、今は亡き日本興業銀行や日本長期信用銀行などが発行していた法人向け5年物利付金融債(リッキーなど)に0.9%を上乗せした金利です。
しかし、ご存知の通り長信銀は既に存在せず、利付金融債も発行されていません。

私が会社員だった1990年代には既に形骸化していた金利です。
「こんな金利を掲載していて大丈夫?」と感じます…

マンション経営のメリット

金利グラフの下に、
5分でわかる!着実な運用「マンション経営」4大メリット
が掲載されています。
その内のいくつを紹介します。

1.年金問題に対する解決策として
不労所得である家賃収入をプラスすることでゆとりが生まれる。
⇒後述しますが、1年目から収支は赤字で持ち出しです…

3.効率のいい生命保険機能
団信保険に入ればもしもの時にローン返済が不要になり、家賃収入を生む資産だけ残る。
⇒その通り。
しかし、もしもの時までマイナス収支の持ち出しが継続し、何事も無くローンを完済すれば生命保険効果は無し。
相続発生を前提にしている?

4.安定した資産運用
将来を考えた資産運用は安定した収入が得られる投資でなければ本末転倒。
⇒その通り。
しかし、1年目からマイナス収支の持ち出しが発生する運用が安定運用と言えるのか…
ある意味、マイナスの安定運用…

上記各説明にはそれぞれポイントが追加されていますが、いずれも論点がズレているような…

Q&Aも凄い

今なぜマンション経営なのか?
に対する答えが、景気に左右されず老後に最適。
老後の経済的な備えに対して「足りない」からマンション経営とありますが、1年目からマイナス収支の持ち出しになるので、本件マンション経営をすると手持ち資産が減っていきます…

どのような物件を選べばいいのか?
に対する答えが、都心に建つ資産性の高いマンションがおすすめ。
これは、その通りでしょう。
しかし、落合南長崎が都心かどうかは…

本件マンション投資の毎月の収支

1年目からフローベースで収支は赤字

最終面に収支シミュレーションが掲載されています。
前提は、購入金額2,980万円、頭金10万円でほぼフルローン、期間35年で金利はずっと2.268%(変動ですよね?)。

それぞれ毎月で、家賃収入 +98,500円、管理手数料 ▲4,925円、管理費等 ▲9,300円、差引の収入 +84,275円。
一方で、ローン返済額 ▲99,412円。
毎月 15,137円の赤字

月々実質1万円台でマンションオーナーに!とあります…

赤字額は更に大きくなる

購入時の登記費用や税金が必要、且つその後も固定資産税負担などがあるので赤字額は膨らみます。
団信保険をかければ赤字は更に膨らみます。

また、家賃は徐々に下がっていくでしょうし、金利がこれ以上下がるのは見込み薄なので返済負担は減りません。
変動金利でしょうから逆に増えるかもしえれません。

加えて、サブリースシステムはオーナーの承認なしに家賃の減額が可能です。
なぜなら、このシステムは家賃保証をする業者が借主扱いになるため、借地借家法で厚く保護されるためです。
最近問題視されているシステムです。

ローン完済後の世界

本件マンション投資の目的は?

ここで発想の転換が必要になります。
値上がり益狙いを除いて、マンション(不動産)投資は家賃収入とローン支払いなどの支出の差を確保することを目的とします。
一方、本件マンション投資は毎月の収支が赤字であり、収入を得ることを目的としません。

では、今回の案件では何のためにマンション投資をするのか?
それは、都心(?)にマンションを所有することです。
そう考えると、パンフレットに記載されている「安定的な資産形成とは?」「安定的な資産形成のために」「月々、1万円台でマンションオーナーに!」などが生きてきます。
あまりにもリスクが大きいので「安定的」かは不明ですけど…

築35年のマンションの価値は?

ちなみに、パンフレット通りとして毎月15,137円の赤字で35年間では6,357,540円の持ち出しとなります。
実際は取得時の登記費用や税金、毎年の固定資産税の負担が加わります。
固定資産税は年間10万円程でしょうか?
35年で350万円。

毎月の赤字額と併せて、約1,000万円の負担で35年後に築35年のマンションを手に入れることになります。
相続を前提にするのかもしれませんが、団信はローン完済時年齢に縛りがあるので35年ローンを組めるか不明です。
一方、赤字で課税所得が圧縮されて税負担が減れば、その分安く手に入れることになりますが。

しかし、35年を経過したマンションにどれだけの価値があるのでしょうか?
不動産価格上昇が未来永劫続くならありかもしれませんけど…
あらためてすごい案件だなと感じます。

不動産投資は目的とリスクを勘案して慎重に熟考しましょう。

スポンサーリンク