カードローンに安易に頼ると借主も銀行も苦しむことになる

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銀行のカードローン残高が急増中

貸金業法改正をきっかけに銀行カードローンが増加

銀行が個人向けに貸し出すカードローンの残高が急増しています。
日銀の調べでは、2010年度に3兆円余りだった残高は2012年度あたりから急増。
直近では6兆円余りまで増加しています。

ここまで急増したきっかけは法改正。
2010年の貸金業法改正により、それまでキャッシングなど個人向けカードローン関連の主役だった消費者金融会社や信販会社・クレカ会社などのノンバンクでは、顧客の総借入残高が年収の1/3に制限され、収入証明の提出も必要になりました。
俗にいう総量規制。

一方、銀行はこの規制から外れました。
銀行は、いわゆるノンバンクよりも節度があるという性善説に基づくとされています。
元銀行員からしたら、儲け主義の中でそんなのあるわけないと思いますけど…

メガバンクだけでなく、消費者金融会社を傘下に持っていない地銀も積極的です。
話題のスルガ銀行を始め、多くの地銀もカードローンを拡販してきました。
地方に行った際、その地の有力地銀がTVCMでカードローンを宣伝するのを何度も見ました。

ノンバンクは相次いでメガバンクの傘下に

一方、貸出残高急減と過払い金返還請求の急増で経営が苦しくなったノンバンクは、相次いでメガバンクの傘下に入りました。
アコムが三菱UFJ、プロミスが三井住友など。
オリコは元々みずほ(旧第一勧銀)の傘下でしたけど。

新生銀行に至っては、レイク・アプラス事業を含めた個人向け消費者金融事業が全収益の半分以上を占めるなど、個人向けカードローンなどに傾斜しています。

新生銀行とは あまりメジャーではありませんが、主に個人を対象にしている銀行に新生銀行があります。 但し、その沿革は波乱万丈です。 新生銀行の沿革 元々は1952年に設立された日本長期信用銀...

銀行カードローンの焦げ付き負担が急増中

焦げ付きが銀行の連結収益を圧迫し始めた

カードローン残高が急増すれば、避けて通れないのが焦げ付きです。
6/21付日経新聞朝刊金融経済面に、

カードローン メガ銀の火種
保証会社の貸倒費用13%増

と題し、焦げ付きが急増していること、連結ベースで損失が拡大していることが紹介されています。

銀行はカードローンや住宅ローンなどを個人に貸し出す際、グループ内の保証会社や消費者金融会社に保証料を支払って保証してもらいます。
そして、貸倒になったら保証会社などから弁済を受けます。

しかし、保証会社などは連結対象のグループ会社。
銀行単体で見れば無傷でも、連結で見れば損失が発生していることに変わりはありません。
地銀など連結対象外企業のカードローンを保証し貸倒発生に伴い弁済すれば、単純に損失が発生するだけです。

審査基準の緩和が貸倒率上昇を招いた

先ほど、貸金業法の改正がきっかけで銀行カードローンが増えたと紹介しましたが、2012年度以降残高が急増した原因は日銀による異次元金融緩和政策です。
金利が一気に低下し企業向け融資や住宅ローンでの利鞘が急速に縮小する中、カードローンは比較的金利を高く設定できるからです。
拡販のため、審査基準を緩めました。

借りる方も、消費者金融から借りるのはかつてのサラ金などを連想し抵抗があっても、銀行からなら大丈夫という根拠に乏しい安心感を持ったようです。
同じ金貸しなのですけど…

また、客層の変化も収益を圧迫します。
日経新聞の記事に、

残高が伸びるにつれ、顧客層が変化してきた

と、メガバンク幹部の声を紹介しています。

実はメガバンクをはじめとした銀行は、バブル期以前からカードローンを取り扱ってきました。
かつて私も銀行員時代にセールスしたことがあります。
但し、今ほど簡単には作成できなかった記憶があります。

それが、拡販政策によりタガが外れたのでしょう。
審査基準を緩めれば信用度の低い顧客割合が増え、貸倒率が上がるのも当然です…

安易なカードローン利用は生活の破綻を招く

カードローン利用者も、手軽に借入できるからと安易に頼っては、一向に借金体質から抜け出ることが出来なくなります。
日経新聞の記事でも、

会社員女性は銀行カードローンの残高が年収を超える。
毎月の返済額は月収の7割。

と、借金に苦しむ例が紹介されています。
もはや生活は破綻しています。

借金は時間を買うことが出来ます。
要は、将来に得るだろう収入を前借することが出来ます。
そうして、家や車などを買い生活を豊かにすることも可能でしょう。

しかし、将来の収入をあてにして生活費や遊興費を借入で賄っても、将来も同じように生活費や遊興費は必要。
将来に余分な返済原資はありません。

また、カードローンの借入が残ったまま相続が発生すると、当然ながらその借入(負の遺産)も相続対象になります。

借金も相続財産の対象となる 相続が発生した場合は配偶者と子供、子供がいなければ親や祖父母・兄弟などが法定相続人となります。 そして、相続財産を相続することになります。 最近は広く知られる...

利用者も銀行も安易にカードローンに頼るのは危険

以前、メガバンクのATMでそのメガバンクのキャッシュカードを使いお金を引き出した際、
「この場でカードローンカードを作成できます。限度額は○○円です。」
などと言うメッセージが出て驚いたことがあります。

そのメガバンク口座は殆ど資金の出入りが無く、まして給料の振込もありません。
そこまでしてカードローンを拡販していたのです。
ネット銀行からのカードローン勧誘メールもしつこいほど受信します。

超低金利下で収益が上がらずカードローンに頼る銀行、安易に遊興費などを借り入れる個人。
いずれも、その先に待っているのは苦しい現実です。
特に利用者は、
「今欲しいと感じるなら、将来も別の品物を欲しいと感じるに違いない」
と認識し、節度をもって利用するようにしましょう。

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