金融業界が相次いで奨学金対策を実施
以前と比較して大学進学者が奨学金を利用する割合が増えています。
一部調査によると、進学者の内で約半数が利用しているとのこと。
かつては私も利用しました。
もちろん奨学金は借金であり自己の能力を高めるための投資。
返済原資は能力を高めた将来の自分が稼ぐ給料などの収入。
しかしその返済負担が重いのも事実。
あおぞら銀行が奨学金対策で人材を確保
景気の回復や若年者人口の急減で新卒者採用に各企業が苦労する中、奨学金に目をつけた企業が出てきました。
5/29付日経新聞朝刊金融経済面に、
「奨学金返済手当」を新設
あおぞら銀、入行後3年間
と題し、新入行員の奨学金返済負担を企業が一部肩代わりする制度が紹介されています。
内容としては大学・大学院在学中に借り入れた奨学金の内、上限額は設けず15%を3年間で分割して支給するとのこと。
給料扱いになるので税金負担や社会保険料負担などは発生するでしょう。
しかしまだ受け取る給料がそう多くない若手行員にとっては大変ありがたい制度。
奨学金を借り入れていない行員とは逆差別との声も聞こえてきそうですが、寮に入っているかどうかや家族手当を受け取っているかなどと同レベルの話。
この制度により優秀な人材を獲得できるなら、企業にとっても株主にとっても悪くありません。
もちろん給料がちゃんと上がればいいのですけど、今の日本でそれを望むのは苦しいですし。
大和証券の奨学金対策制度は会社に縛られて微妙かも
先日、大和証券が奨学金対策をすると報じられました。
大和証券の場合は社員に対し会社が奨学金と同額を貸し付けて返済させる。
その後に据え置き期間を設けて徐々に返済させる。
金利を取らないので金利分の負担が無くなるという制度。
但しこの制度を利用すると会社に対して借金することになるので、完済しない限り退職できず会社に縛られるという弊害もあります…
住宅を買う際に勤務先で借り入れるのと同じで会社に縛られ続けます…
私が新入社員だった時代も奨学金の返済は大変だった
新入社員時代はカツカツ
私は1990年代の半ばに社会人となりました。
既にバブルは崩壊し就職するのも狭き門になりつつありました。
私はもし何かあったらと思い、新入社員当時からの全ての給与・賞与明細を保管しています。
当時の明細を見てみると基本給は17万円程。
社内資格に基づく職務給(といっても新入社員なので極僅か)を数千円加えた金額が全て。
まだ大した戦力でもないので残業代などありません。
全てサービス残業。
今では通用しないでしょうが、勤務管理表が手書きだったので可能でした…
少ない給料からガッツリ持っていかれる…
ここから所得税・社会保険料・昼食費・雑費に加え、これでもかと受講させられる通信教育代や無理矢理加入させられた生保掛け金などを引かれると残りは10万円ちょっと。
扶養家族もいない20代前半の若者が保証額6,000万円の生保に入ったいきさつは下記投稿をご覧ください。

なお国民年金保険料を含めた厚生年金保険料は月額12,000円ちょっとでした。
今では国民年金保険料だけで月額16,000円を超えるのに…
私は独身寮にいたので、寮費や寮の食事・光熱費・クリーニング代・新聞代なども追加で引かれます。
奨学金の返済が始まると殆ど残りませんでした…
それでも自分のスキルを上げるために本を読んで勉強したり、追加で通信教育を受講したり。
1年目でも僅かに貰えたボーナスで補てんしている状態。
苦しかったですが学生時代に親から支援を受けると共に奨学金を借りていた時と違い、全て自分で賄えていたので気分は全く違いました。
学生時代は親に負担をかけていたことにいつも申し訳ない気持ちでしたので。

2年目に楽になる
2年目になると職務給がそこそこ上がりました。
残業代も少しですが付けられるようになったので収支は随分と楽に。
銀行は世間体を気にして初任給を低めに設定しているのです。
2年目の初夏から住民税の支払も始まりますがそれでも収支は改善。
楽になった分、奨学金を前倒しで返済していくのと同時に証券アナリスト講座を受講したり英会話スクールに通ったり。
ここでも自己投資。
結果的にこの頃の自己投資のおかげでその後の選択肢が増えたので、当時の判断はなかなかだったと思います。
最後に
奨学金に頼らざるを得ないのは、限られた予算を高齢者に突っ込み続ける政府の責任。
野党が再度政権を取ったらもっと突っ込むでしょうし…
しかし文句を言うだけでは現実は変えられません。
まずは、
①奨学金は借金を原資とした教育による自分への投資であり、その返済原資は能力のアップした自分が将来稼ぐお金であること。
②借金をしてまで投資する価値と確実性があるかを見極めること。
③場合によっては、追加での自己投資が必要になる可能性もあること。
などを理解することでしょう。
更には情報感度を高めて返済負担を軽減してくれる企業の情報などを積極的に集めていくことも大事。
借金により自己の可能性を高められることは魅力的。
しかし借金に縛られ続けては高めた可能性を萎めてしまうこともあります。
難しいですね。