新生銀行がATM手数料を有料化で将来的に大丈夫だろうか?

fuan

新生銀行とは

あまりメジャーではありませんが、主に個人を対象にしている銀行に新生銀行があります。
但し、その沿革は波乱万丈です。

新生銀行の沿革

元々は1952年に設立された日本長期信用銀行(長銀)。
後に、日本興業銀行(現、みずほ母体行の一つ)、日本債券信用銀行(破綻済み、現あおぞら銀行)と共に長信銀3兄弟を形成。

その内で長銀は長信銀の2番手行として君臨。
1980年代後半には海外格付け機関からもAAA格を得るなどバブルを謳歌。
しかし、バブル時に乱脈融資を行った後にバブル崩壊を受け不良債権の山を作り、不良債権飛ばしと粉飾決算に手を染める。

結局、1998年に破綻し国有化。
その後、2000年にリップルウッドに売却され新生銀行に。
2004年に再上場を果たしました。
現在の連結総資産は直近で10兆円ほどと、地銀上位行レベルです。

リップルウッドに売却された際は、貸出資産が劣化した場合にその損を国(預金保険機構)が補てんすることになる瑕疵担保特約が問題視され、結局国民負担は4兆円を超えたと言われています。

新生銀行のビジネスモデル

以前は長信銀としてリッチョーなどの金融債が主な資金調達源であり、その資金を大企業や不動産プロジェクトなどに投入していました。
しかし、バブル崩壊を経てビジネスモデルは崩壊。
現在は普通銀行として預金を主な資金調達源として、個人を主な取引対象とする新たなビジネスモデルを構築しています。
但し、店舗は全国でわずか29店舗のみ。

なお、直近のIR資料で確認したところ、個人部門収益が全体収益の内の65%を占め法人部門収益は僅か28%。
更にその個人向け収益の内でレイクを含めた無担保ローン事業が46%、信販業務のアプラス事業が38%を占めるなど、ほぼ消費者金融会社の様相

私も新生銀行を利用していた

実は、私は2000年代半ばに口座を保有していました。
個人向け口座でネットを使えば、一定回数振込手数料が無料だったのです。
振り込み手数料無料、無通帳を打ち出した最初の銀行だったかもしれません。

自宅の家賃を振り込む際、振込手数料を節約しようと口座を開設しました。
よく買い物に行くお店の近くに新生銀行の店舗とATMがあったので、キャッシュカードで入金しネットで振り込めば手数料は一切不要でした。
しかし、その後多くのネット銀行が振り込み手数料無料などを引っ提げて参入し、私もそちらに乗り換えたので新生銀行の口座は解約済。

新生銀行がATM手数料を一律有料化する

新生銀行は昨年自行ATM網を全廃しました。
その代わりに、ほぼ全てのコンビニATM・ゆうちょATMで、ほぼ24時間365日入金・出金を問わず手数料を無料化。
メガバンクATMでは入金ができないものの、出金は土日も含めて多くの時間帯で無料、などATMを頻繁に利用する人にとっては有難い施策を実施しています。

しかし、この方針を転換します。
5/2付日経新聞朝刊金融経済面に、

新生銀、「ATM無料」廃止
運用難響き一律108円に

と題し、今年の10月にも有料化すると報じられています。
実際には、月中預金残高の平均残高が200万円未満の顧客などが有料化の対象になります。

有料化に踏み切る理由は二つ。

運用難

マイナス金利政策長期化観測の下で収益環境が悪化している中、セブン銀行など他行に支払う手数料負担が重荷になってきているのです。
直近(2017年12月末)の短信を調べたところ、貸出金4.9兆円・有価証券1.1兆円と並んで現預金が1.4兆円もあります。
この現預金の殆どは日銀預け金でしょう。
ちなみに、受け入れている預金は5.6兆円、CD(譲渡性預金)が0.4兆円です。

低金利と資金需要の乏しさで、預金を受け入れても日銀に積むしかないのです。
ATM手数料を負担してまで個人預金を集めるインセンティブに欠けます。

現金需要の減少

記事でも紹介されていますが、セブン銀行のATM利用件数が3年前から5%も減少するなど、そもそもATMを利用するニーズが減少しています。

コンビニATM手数料無料回数が減少傾向 現金引き出しはコンビニが便利で主流 お金をATMから引き出す際、以前なら口座を保有している銀行店舗や駅などにある当該無人店舗のATMを利用していました。...

上記投稿でご紹介した通り、私もATMを利用する回数が激減しています。
数えたところ、今年に入って未だ2回のみ。
その分、Suicaを主体に電子マネーとクレカで決済しています。

現金を利用するニーズが低いならば、「ATM手数料を有料化しても影響は少ない」との読みでしょう。
以前と違い電子マネーやアップルペイなどを利用できる店舗が激増しており、またクレカを保有していなくてもデビットカードの選択肢も拡大。
現金主義に拘らなければ、ほぼほぼキャッシュレスで生活できる環境になっています。

今後への影響

今回考えられる二つの理由の内、現金需要の減少に関しては今後もこの流れは不変でしょうから、ATM手数料を有料化しても影響は少ないでしょう。

一方で、問題なのは運用難です。
現在はマイナス金利政策の下で運用しきれない資金が集まり困る状況ですが、何れはこの状況も変わります。
そうなった際に、店舗網が少なく個人の知名度も低い新生銀行が、個人から資金を円滑に調達できるかというと不安が残ります。
一旦離れた顧客を取り戻すことは難しいでしょう。
加えて、新生銀行に資金ニーズが発生する際は他行も同様の資金ニーズが発生し、お金の取り合いになることが想定されます。

現在のビジネスモデルに大きな変化が無ければ、新生銀行は今後も貸出金利が高い消費者金融事業と保証を含めた信販事業がメインとなり、資金調達コストが多少上がっても影響は少ないでしょう。
しかし、他行と資金を奪い合う事態ともなれば、影響は大きくなる可能性があります。

金融機関のサイトに一言

今回、銀行や証券会社のサイトをいろいろと見て回ったのですが、新生銀行も含めてトップページをSSL化していない金融機関が殆どでした。
ゆうちょがSSL化されていたのは元お役所と考えれば意外でしたが…

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