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三越伊勢丹が早期退職制度を地方子会社等にも適用~大盤振る舞いかは所属会社次第

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三越伊勢丹で大盤振る舞いの早期退職制度

業態自体が時代遅れになり、外国人による爆買いが一服すると途端に業績の伸び悩みが顕著になったのが百貨店業界。
江戸時代の越後屋をルーツに持つ三越、アパレルに強い伊勢丹が統合して誕生した三越伊勢丹ホールディングス(3099)も同様。
株価は2015年夏に付けた直近高値と比較してほぼ半値と低迷…

その三越伊勢丹HDが大盤振る舞いの早期退職制度を設定したのが昨年の秋。
全従業員に占める割合が高く、給与水準も高いバブル世代をほぼ狙い撃ちにした制度。
その条件も破格で世間を大いに賑わせました。
上乗せ退職金は40代後半の部長級で5,000万円、同年代の課長級でも4,500万円です。
通常分ではなく上乗せ分がです。
800~1,200人が対象で全従業員の2割に相当します。

尤も昨年度申込者は会社が想定したよりも大幅に少なくわずか170人ほど。
割増退職金を貰い早期退職しても、
退職金にかかる税金の負担が大きい
再就職先の給与は大幅減が見込まれる
給与減により、将来受け取る厚生年金も大幅に減額が想定される
などの理由があると考えられます。

三越伊勢丹の早期退職申込者数が想定下回る~冷静に考えれば当然かな?
三越伊勢丹で募集されていた破格の条件の早期退職制度への応募者が想定を下回った。現時点で多額の退職金を受け取っても税金で多く持っていかれるのに加え、今後の収入減や年金減を考慮すると、最終的には収支が悪化する可能性が高い。

上記投稿で税金の試算もしています。

子会社でも早期退職制度を設定する

多数の子会社群を抱えている

実は前記大盤振る舞いの制度は持ち株会社(三越伊勢丹ホールディングス)と中核子会社の(株)三越伊勢丹のみに適用。
しかし今後は地方の店舗を運営する子会社やカード事業などを運営する子会社など、持ち株会社が抱える多くの子会社群にも適用されるようです。

5/24付日経新聞朝刊企業面に、

退職金上乗せ 地方にも
三越伊勢丹HD、早期退職で

と題し、紹介されています。

HPを調べてみたところ、中核子会社以外に地方店舗を運営する子会社は札幌丸井三越など11社、金融子会社1社、通販子会社6社、製造・輸出入・卸子会社5社、人材サービス子会社3社など。
他にも不動産管理会社や旅行会社など21社を抱えています。
今回は対象になるか不明の海外店舗運営の現地法人などもあります。

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早期退職制度の内容は子会社毎に違う

新設される早期退職制度は子会社毎に違うようです。
子会社毎に業務や業績、従業員数や年齢構成、給与水準などが違うため当然でしょう。

記事によれば、

各子会社が人員の余剰感に応じて、それぞれの組合と協議して決める。
退職者数の数値目標は設けない。

とあります。

尤も、持ち株会社からはどれだけの人数を減らして経費を削減するかの指示があるでしょうから、子会社経営陣には相当のプレッシャーがかかるはず。
また、元々子会社にいるプロパー社員に加え、持ち株会社や中核子会社から天下った社員もいるでしょうから問題は複雑化します。
天下り組を優遇すれば、子会社プロパー社員の士気は一気に落ちて業績にも影響するでしょう。

企業も従業員も大変な時代

百貨店は業態自体が時代遅れになり業態転換も十分に進まないので、今後も苦しい展開が続くと考えられます。
業歴が長い企業が多いので、簿価の低い土地などの資産を有効に活用できるうちに財務的に筋肉質に代わると共に、儲かる業態に転換しなくてはジリ貧になる可能性が高くなります。

一方で従業員の立場からすれば早期退職制度に申し込むかは慎重に検討したいところ。
勤務年数が20年に満たなければ退職金にかかる税金の負担は大きいですし、20年を超えると長ければ長いほど優遇される退職所得控除額も大きくなります。

特に地方では三越伊勢丹の子会社ならば給与水準が比較的高い一方、転職後の給与水準は下がるケースが多いと考えられます。
給与水準が下がれば、将来受け取る厚生年金の水準も下がります。

本当に難しい世の中です…