確定拠出年金に関する法律が一部改正
昨年2017年6月3日に公布された確定拠出年金法等の一部を改正する法律が、来週2018年5月1日に施行されます。
その内、iDeCo(個人型確定拠出年金)に関係するのは主に次の6点。
①中小企業向けの取り組み
従業員100人以下の企業の従業員がiDeCoに加入している場合、企業が追加で掛け金を拠出できる中小事業主掛金納付制度が利用可能になる。
⇒iDeCo+(プラス)

②資産ポータビリティ
iDeCo加入者が一定の条件を満たせば、iDeCoの資産を確定給付企業年金(DB)へ移管できるようになる。
企業型確定拠出年金(DC)加入者が資格喪失後にiDeCoに加入した場合、本人の申し出が無くても資産がiDeCoに移換される。
③運用商品を選択しやすくする
運用本数は3以上35以下。
除外する場合、除外商品運用指図者の3分の2以上の同意を必要とする。
④多様な商品の提示を促進
リスク・リターン特性が異なる3つ以上の運用商品が必要。
元本確保型商品の提供義務は不要。
⑤指定運用方法の規定整備
法令等の基準を満たす運用商品を指定運用方法に選定可能。
該当するプラン加入者が一定期間運用指図をしない場合は、指定運用方法により運用される。
⑥その他
受給権を満たすDBの中途脱退者は脱退一時金をiDeCoに移換可能。
運用商品本数の上限35本の衝撃
SBI証券は32本も運用商品を削減する必要がある
移換金に関する事項はどの運営管理機関でも変わりはありません。
しかし上記③④⑤に関しては加入する運営管理機関により影響の度合いが違います。
特に私も加入するSBI証券のオリジナルプランでは③の運用商品本数に関する事項について影響が甚大。
何しろ拠出金を割り振って投資している投信などがプランから除外されてしまうかもしれないから。
除外が決定すると、2018年4月30日時点の保有数量分を超える分が強制的に換金されてしまいます。
今後のスケジュール
なお、今回の法改正により運用商品本数はそれぞれのプランで3本~35本になりますが、2023年までの猶予期間が設定されています。
要は5年の間に枠内に収めなさいということ。
猶予期間が5年間あるとはいえ、少なくとも32本もの運用商品を除外する同意を取り付けるのは相当大変な作業になり時間も要します。
除外される商品についても8/10に公表されました。
今後該当商品を保有、もしくは拠出金を割り振っている場合に不同意書が送付されます。

SBI証券で除外対象になる運用商品は?
常識的に考えて販売額が上位の商品は残ると考えていましたが、実際は除外商品決定前月の購入額上位20位までの内で3本が除外されることになりました。
除外される商品に関しては、前記リンク先の8/11の投稿をご覧ください。
なおiDeCoの主な他の運営管理機関では調べた限り岡三証券を除いて35本の枠に収まっているようです。
岡三証券は41本となっていますので、SBI証券程ではないものの最低6本は除外する必要があります。
SBI証券・岡三証券以外のプランに加入している方も、念のためご自分が加入している運営管理機関のHPで最新の商品本数やお知らせなどをご確認ください。
運用商品本数に上限が設定された理由
今回の運用商品本数上限設定に関しては、企業型DCで「難しくて選び方がわからないとする従業員がいるから」との理由でまず決まりました。
加えて企業が費用を負担し投資セミナーなどの従業員教育まで行ってくれている一方、それでも自分の将来設計に無関心で自発的に勉強・選択しようとはしない人たちに合わせた制度改正。
そしてなぜかiDeCoまでとばっちりを受け同じ上限数に決まったという経緯があります。
iDeCo加入者は自発的に勉強して商品を選ぶなど高い意識を持っている人たち。
そのため企業型に合わせる必要は全くなく単に選択肢を奪う措置だと思うのですけど…
ましてや企業型DCと違いiDeCoは加入する金融機関を加入者自らが選びます。
サービス内容や運用商品ラインナップを比較して。
自ら真剣に勉強し将来のために運用商品を選ぶ人たちにとって、今回の制度改正は企業型にしろ個人型にしろいい迷惑!
追記~SBI証券が二つ目のプランを運営する
9/27にSBI証券は二つ目のプランとなる「セレクトプラン」の運用を始めると発表しました。
こんなこと可能だったのか…
考えもしませんでした…
