新聞広告に載るような新築物件でのマンション投資は立地にもよるが厳しそう

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新聞各紙に新築投資用マンションの一面広告

今週に入り、新聞の朝刊各紙に東京都江東区に建設された投資用新築マンションの一面広告が掲載されました(竣工は2018年3月)。
想定表面利回りが3.86%との数字を目にしてちょっと厳しいなと思いながら、HP等いろいろと調べてみました。

立地

立地は東京都江東区で都営新宿線の駅から徒歩5分。
この辺りは多くの大型都営アパートや大型マンションが建ち並ぶ住宅地で、最寄駅から大手町までは都営新宿線と半蔵門線を使い16分ほど、新宿までは1本で20分弱とかなり交通の便がいい立地です。

都営新宿線沿線に限らず東京メトロ東西線沿線など東京の東部は、公共交通機関の便が良く物件価格も他地域ほど高額ではないので、特に子育て世帯などに人気があります。
尤も、この物件は間取りから1~2人用ですね。

物件

地上8階建てで総戸数は161戸。
専有面積は全て25.51㎡で間取りは1DK・2K。
付帯設備は、セキュリティー関連も含め最近の新築マンションなら付いているものをほぼ装備。
価格は2,890万円~3,040万円で最多販売価格帯は2,900万円台(94戸)。
修繕積立費は引き渡し時一括で80,000円に加え月額1,000円。
管理費は月額5,000円。

想定収支

表面上の収支

家賃 94,000円(管理費込)。
2,920万円の物件を頭金10万円、残りを提携地銀ローンで調達。
返済は35年、金利1.6%の短プラ連動変動金利で元利均等返済、団信・保証料込み(この手のローンとしてはかなり好条件?)。
ローン返済額は毎月90,531円。
月額管理費の5,000円とネット代の月額810円は賃借人負担。
想定家賃と物件代金で見た表面利回りは3.86%(広告に掲載された数字)。

但し、広告の物件概要欄に想定家賃は管理費込と記載されているので、家賃を89,000円で計算すると本来の表面利回りは3.66%になると思われます。

実際の収支

家賃 89,000円(管理費別)。
ローン借入時に登記費用や印紙費用など。
追加で修繕積立費が月額1,000円、管理等の家主代行システムが月額3,500円。
別途固定資産税・都市計画税負担あり。
火災保険負担もあり。

家賃収入 管理費別の89,000円×12=1,068,000円 — α
ローン以外の経費 (修繕積み立て費1,000円+家主代行システム費3,500円)×12=54,000円 — β
α-β=1,014,000円 — Γ
利回り Γ÷2,920万円×100=3.47%
12か月の内で0.5か月が空室(2年毎に1か月空室)とやや堅めに仮定すると、空室時の管理費・ネット代負担も所有者負担になり、収入は差引966,595円で利回りは3.31%
更に、固定資産税等の租税公課が年間10万円と仮定すると、収入は866,595円で利回りは2.97%

礼金は0.5か月分とありますが、設備が壊れた際の費用やクリーニング費用に充当するとします。
追加費用を控除し空室も考慮した年間収入が866,595円に対し、ローン返済額は年間1,086,372円で1年目は差引年間219,777円の持ち出し(登記費用などは別途必要)

但し、本業を持っている場合は不動産投資を総合課税にすることで、上記持ち出しの内で元本返済分を除いた額に原価償却費等を加えた赤字を本業の所得から控除することが出来るため、税金の還付が可能(持ち出しの全額をカバーはできませんが)。

今後の収支悪化要因

修繕積立費が当初は月額1,000円となっていますが、今後もこの金額に収まるとは想定し辛い。
同じ建物内に160戸の競合物件があるので、確実に入居者を確保するためには家賃の引き下げなどが必要。
建物・設備の経年劣化に伴い家賃を引き下げていく必要がある。
東京都内でも2020年代には世帯数が減少に転じ、賃貸物件の空室率が更に上昇すると想定されている。
アットホームのHPで最寄り駅から徒歩5分以内、1DK~2Kのマンションで検索したところ105件がヒットするなど現在でも競争は激しい。
そして、ここに更に160戸が供給される。
借入を変動金利型にしているため、今後金利が上昇した場合は支払い負担が増加。
金利上昇を先取りし固定型にしても、当然ながら負担は増加。
などなど。

かなり厳しそう…

不動産投資は綿密な調査と検討が必要

今後不動産投資を行うためのポイント

そもそもが不動産市況に頭打ち感があり、人口・世帯数が減少するという逆風下ですので厳しいのですが、

設定家賃を高くキープ出来る(下げない)物件

都心ターミナル駅から至近など立地条件が格段にいい、やや郊外になるもブランド力がある地区、有名小学校がある文教地区、など他には無い特徴がある。

購入価格を抑える

そもそもの購入価格が安ければ黒字をキープできる可能性は高まります。
例えば新築でなく中古を選ぶ、(知識は必要ですが)競売物件の活用など。
更には、手間をかけることでリフォーム費用を節約するなど、費用をかけずに汗を流し時間をかけるなどの工夫も必要でしょう。

一気の需要減に注意

様々な属性の人が居住する地域ならばいいのですが、属性が偏っている場合は要注意です。
例えば、特定の工場従業員や大学生です。
大分県には大手精密機器メーカーや電機メーカーがあるのですが、機械化を進めて従業員が激減したため空室だらけになったアパート、郊外の大学(一部学部)が都心回帰の動きで移転し、学生も一気にいなくなったため空室だらけになったアパートなど…

リーマンショック直後や東日本大震災後にセンチメントが悪化し、不動産価格が安かった時期に物件を購入した先見の明のある投資家なら今後家賃が下がっていく過程でも大丈夫なのでしょうが、これから参入する場合は慎重に検討することが必要でしょう。
また、某女性用シェアハウスの運営受託会社が破綻するなどの事件も発生していますので、美味しい話には何かあると斜に構えることも大事です。
何事も、手間をかけずに楽して稼げることは無いと心得ましょう。

くれぐれも慎重に!

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