日銀の雨宮新副総裁には実務のわかる理論派として金融引き締めに備えて欲しい

boj

日銀新副総裁に雨宮現日銀理事が就任

現在の中曽日銀副総裁の任期が3/19に満了することに伴い、後任に現日銀理事の雨宮氏が昇格し就任します。
中曽氏も日銀理事からの昇格であるものの、理事時代の担当が国際関係総括。
一方、雨宮氏は企画局・金融市場局・金融研究所を担当しており、まさに現在の日銀の金融政策を実務面から支えてきた人物。
なお、量的質的金融緩和政策が始まった2013年は理事大阪支店長であり、企画担当理事として金融政策に関わったのは2014年10月末の第二次黒田バズーカの時から。

また、1997年に三洋証券・山一証券・拓銀が破たんし、その後も長銀・日債銀が破たんに突き進むなど金融市場の緊迫度が増していた1998年には、オペ(公開市場操作)を通じて金融市場の資金繰りを司る金融市場課長も経験しています。
要は、金融政策の企画立案に携わるだけでなく、現場の一線も経験していることになります。

頭でっかちになりがちな企画担当者にはない考え方を持ちあわせており、今後金融引き締め局面が訪れる際に最も重要な「市場との対話」をうまく乗り切れる人物であると期待は高まります。

昨年末に雨宮氏が金融政策について講演

3か月遅れの雑誌で知る

その雨宮新副総裁が昨年12/11に日本証券アナリスト協会で開催された講演会で、「最近の金融政策運営について」と題し講演を行っていました。
先日郵送されてきた証券アナリストジャーナル3月号にその要旨が掲載されているのを発見しました。

恐らくは、事前に講演会の案内が来ていたと思いますが気がつきませんでした…
雨宮氏は次期日銀副総裁の有力候補と目されていたので注意はしていたものの、12/11は月曜日であり引け後16時スタートの講演会には間に合わないため、知っていても行っていたかはわかりませんが…

講演会の要旨は間もなく日本証券アナリスト協会HPの「専門性を高める⇒セミナー・講演会・大会⇒講演要旨」で会員以外の方も見られるようになるはず。
先ほど見たところ要旨準備中になっていました…
4月に入り見られるようになっていました。

一方、日銀HPには総裁・副総裁・審議委員による講演会原稿は掲載されますが、雨宮氏は理事なので掲載されませんでした。
重要人物ですが盲点です。

講演会の内容

講演は大きく3つの論点で構成されています。
日銀の最近の物価経済見通し
物価動向
金融政策を巡るいくつかの論点
です。

その内、最も気になるのはの中にある「出口の考え方」です。
つい先日も黒田日銀総裁が
「2019年度頃に2%の物価上昇目標を達成しているという見通しの下で、金融政策の出口というものをその頃検討するようになるのは間違いない」と発言し円高が進行しました。

雨宮新副総裁は昨年末の段階で黒田総裁が国会答弁で話した内容を独自にまとめており、その中で

(出口やその際の収益動向などについての)考え方は内部でも議論しているので、そういった議論を将来、今すぐというわけではないが、将来、ご紹介することはできるかもしれない

とわざわざ明示。
収益動向とは、日銀の収益動向になります。
金利上昇や株価下落が、日銀の資本勘定をどのように毀損するかの議論と思われます。

ちなみに、昨年10月の日銀展望レポートにおいて、2019年度の物価上昇率は1.8%になると想定しています。
昨年10月の展望レポートの内容、昨年の黒田日銀総裁の国会答弁、昨年末の雨宮新副総裁の講演、先日の黒田日銀総裁の発言は全て一貫性があることになります。

実際にどのように出口戦略を実行していくのか?

実は、最も重要になる出口戦略の方法については明示していません。
まあ、企画担当理事とはいえ審議委員でもない日銀の職員が表明するわけにはいかないでしょうが。

但し、黒田日銀総裁の国会答弁を用いて話しています。
それは、

実際にどのような手段を用いるか、あるいはどのような順序で出口を進めるかというのは、やはりその時々の経済や物価情勢、市場の状況によって変わり得る。

です。

当たり前と言えば当たり前ですが、米でQE2からの脱却時は量的緩和策縮小⇒政策金利引き上げ、QE3からの脱却時は政策金利引き上げ⇒量的緩和縮小、と想定する順序を入れ替えたFEDの例をあげて説明しています。
更には、日本の場合は金利系資産だけでなく株式を大量に買い入れているので、出口戦略と実際に行う順番の策定は困難を極めます。

出口戦略を立案・実行する際の経済や物価情勢、市場の状況は現時点ではわからないものの、黒田日銀総裁の国会答弁からも「公開をしていないだけで日銀内で議論はしている」ということなので、ぜひ出来るだけ副作用が少なく通常の金融政策に戻れる政策をお願いしたいところです。

雨宮日銀新副総裁には、現場と金融実務を理解した副総裁として金融政策決定会合内の議論を通じた意思決定に関わっていただきたい。
内外を問わず、学者出身者は概してリアルな金融政策の場を自分の仮説を証明するための実験場にする傾向があるので…

日銀新副総裁の任期は5年。
その間に物価上昇率が心地いい水準でキープされ、金融市場も混乱せず出口戦略が実行されているといいですけど。

スポンサーリンク

シェアする