銀行口座維持手数料は早晩導入されるだろうがデメリットだけではない

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銀行口座を維持するためには結構コストがかかる

銀行口座の複数保有は普通

普段生活していくうえで、殆どの人は銀行口座を使っていると思います。
給与振込・年金振込・仕送り受取などの「入口」口座に加え、公共料金・クレジットカード支払い、住宅ローン返済などの「出口」口座が必要で、それぞれを別にしたり同じにしたり。
また、生活費を管理する口座と貯蓄用の口座を別にしたりと、複数保有することも珍しくないと思います。

こういう芸当ができるのは、銀行口座を維持するために手数料が不要であるためでしょう。
しかし、もし銀行口座を保有・維持するために手数料をとられるとしたらどうしますか?

銀行口座維持には結構なコストがかかっている

実は、銀行側が預金口座を維持するためには結構なコストがかかっています。
入出金記録はデータ管理されていますが、過去分も含めて全てをデータ保存するとそのデータ量が膨大になりコストがかかるため、一定の期間を経過するとマイクロフィルムに転写されて物理的に管理されます。
それ以降に記録を見るためには顕微鏡のような拡大機を使用します。
これらにも、当然ながらコストがかかります。

更に忘れてはならないのが印紙税です。
預金通帳を捲ってみると、殆どの通帳の場合は捲ってすぐのところに「印紙税申告納付につき○○税務署承認済み」という印刷がされているはずです。

預金通帳には本来銀行が毎年200円の印紙を貼り付ける必要があるのですが、全預金者に毎年窓口に来てもらい印紙を貼るのは現実的ではありません。
そのため、本来貼り付けなくてはならない印紙の額を合算し、銀行が税務署に支払っているのです。
その額は銀行界全体で何と年間700億円以上。

ちなみに、この印紙税は通帳発行・維持に関して必要なので、ネット銀行などの預金通帳を発行しない口座の場合は不要です。
最近、三菱東京UFJ銀行などで通帳無し口座への誘導が見受けられますが、理由は印紙税削減にあるのです。

余裕の無くなった銀行は口座維持手数料を導入する

前記の通り、殆どの人は複数の銀行口座を保有していると思います。
私も結構な数の口座を保有しています。
中には、学生時代にバイト代受取のため開設した地銀口座、下宿先の家賃振込用に開設した信金口座も当時の住所のまま残っています。
もちろん残高は殆どありません(と思います)。

こんな口座は銀行からしたらコストのかかるただのゴミです。
休眠口座になっているでしょうが。

マイナス金利政策長期化が口座維持手数料導入を早める

これまで銀行は嫌々ながらも様々な赤字サービスを残してきました。
しかし、マイナス金利政策長期化の影響で貸出金利鞘が大幅に縮小し本業で赤字になり始めたことから、無料で提供してきたサービスの有料化を進めるはずです。

2/28付日経新聞朝刊金融経済面に、

銀行手数料 課金の動き

と題し様々なサービスの有料化が紹介されていますが、本丸は口座維持手数料でしょう。

想定される内容は、
原則口座維持手数料を導入
預金残高や投信などの預かり資産残高、住宅ローン利用など利用状況により(一部)無料化特典を付与
でしょう。
ATM手数料と同様に。

要は、儲からないというか赤字客の切り捨てです。
赤字になる客が口座を維持したいならば、手数料を貰い維持させてあげるという姿勢です。
通常の商取引では赤字客は取引を切ればいいのですが、以前と比較すれば緩くなったとはいえ銀行は規制に守られており公共性が求められるため、取引の拒否はしない代わりにある程度のコスト負担を顧客に転嫁することになります。

口座維持手数料導入でどうなるか?

実際に口座維持手数料が導入された場合のポイントは、選択の余地があるかどうかでしょう。
現在のATM手数料のように一律ではなく、各銀行により手数料水準が違えば預金者も選択可能です。
但し、恐らくはメガバンク、地銀、信金など業態毎に横並びになる気がします…

それでも、ネット銀行など低コスト運営を行う銀行は手数料を相当低水準もしくは無料化するでしょし、預金者自身が賢く選択することは可能と思われます。

既存口座に関しては、残高から手数料を機械的に差し引いていき、残高が0になった後数年で休眠口座化するのではないでしょうか?
もちろん、復活させるためには残高が0になった以降の手数料を徴収して。
手数料を負担してまで口座を復活させる人は殆どいないでしょうが…

銀行利用者にもメリットがあるかもしれない

ここまでは銀行が負担すべき費用という観点でした。
しかし、逆に考えれば銀行が負担している口座維持に関する費用は、低水準の預金金利や貸出金利への上乗せなどを通じ、回り回って銀行利用者が負担しているコストとも言えます。
であるならば、赤字口座数減少を通じ赤字口座維持にかかるコスト負担が減り、回り回って銀行利用者に還元されると考えれば悪いことばかりではありません。

口座維持手数料の導入は不可避でしょうから、あとはいつ・どこが先陣を切って導入するかです。
私の勝手な予想では、国内ナンバーワン銀行である三菱東京UFJ銀行が先陣を切ると考えます。
金融危機時に公的資金と言う名の税金資本注入に真っ先に手を挙げた(MOFに挙げさせられた)のも当時の東京三菱銀行でした。

一番手が導入すれば、他行も導入しやすいでしょうから雪崩をうって導入するでしょうね。
節操が無いですけど。

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