家庭裁判所での相続放棄手続きに同行した~負の遺産相続には要注意

rulr

昨日の週刊現代オンラインに相続の記事が掲載されており、私の経験も関連があると思い投稿します。

負の遺産相続に苦しむ人がいる

相続財産には正の遺産と負の遺産がある

肉親が他界した際に直面するのが相続手続きです。
2015年1月1日以降、相続税の基礎控除や法定相続人の人数に比例して増える控除額が減額されたこともあり、関心のある方も多いと思います。
特に都内などに不動産を所有していた方が他界した場合、今までよりも相続税を支払う層が増加したと言われています。

一般的に相続財産と言えば現預金や有価証券、不動産に美術品などが思い浮かぶと思います。
これらはプラスの価値があるので正の遺産と言われます。

一方、相続対象となる遺産には負の遺産もあります。
わかりやすいのは借金です。
要は、財産を相続する場合は正の遺産も負の遺産も相続することになります。

ここで問題になるのが、正の遺産よりも負の遺産の方が多い場合です。
一般的に民間の住宅ローンには団体信用生命保険(以下、団信)が付随しており、他界したり重度の障害を負った場合は保険金が下りて借金が帳消しになります。
しかし、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の住宅ローンや事業性の借入・カードローン、自動車ローンなどには団信が強制で付かないので、借金のほうが多いケースが発生し得るのです。

相続手続きは3種類

相続が発生した場合に取り得る手続きは3種類。
単純承認
正の遺産も負の遺産も相続する。

相続放棄
正の遺産も負の遺産も放棄する。

限定承認
正の遺産を換金のうえで負の遺産の返済に充当し、差引プラス分のみを相続する。

です。
は相続人の内で誰が選択しても構いませんが、は全員が選択する必要があると共に手続きが煩雑です。
また、相続放棄や限定承認は相続発生を知った日から手続きをとるまでの期限が設定されています。
何もしないで放っておき、相続放棄や限定承認の手続きを取る期限を過ぎれば、自動的にの単純承認になりますので要注意です。

借金だけでなく債務保証も相続対象

更に問題になるのが債務保証、要は他社や他者の保証人になっている場合です。
借主がまだ破綻していない場合でも、保証人としての地位が相続対象となります。
やっかいなのは、保証人になることはある意味後ろめたいため家族にも内緒にしていることがあり、また昔に保証人になった場合は保証人になったこと自体を忘れているケースがあるからです。

悲劇はこういったケースで発生しやすくなります。
例えば、借金や債務保証の存在を知らずに単純承認し、いくらかの正の遺産を相続します。
しかし、その後に借金や債務保証の存在が明らかになるケースです。
借金であれば延滞となるため比較的早くわかるケースもありますが、債務保証の場合は数年経過して借主が破たん、債権者から取り立てられ初めてその存在を知るケースもあり得ます。

債務保証は高額になりがち

特に以前は企業向けなどの事業性資金の場合、保証額に限度を定めない根保証や例えば1億円などの極度額を設定し返済し終えれば枠を再利用する極度保証が多かったため、そういった債務保証契約が残っていると危険です。

またやや専門的になりますが、事業譲渡などに伴い借金も併せて新事業者に譲渡した場合に「免責的債務引受」とすれば借金から完全に切り離されますが、「重畳的債務引受」とした場合には旧債務者は連帯保証人として債務に関わり続けることになります。
事業と借金をセットで手放したと聞いていても、どちらの手続きとなったかで雲泥の差があります。
そして、どちらの手続きにするかは新債務者の信用力や金融機関の裁量が関わってきます。

その他に、忘れがちですが賃貸住宅の保証人にも注意しましょう。

一旦単純承認すると無かったことにはできない

深刻なのは、何もアクションを起こさなかったケースも含め一旦単純承認を選択してしまうと、「正の遺産はやっぱりいらないから無かったことにして」と主張出来ないことです。
少しばかりの正の遺産を相続したばっかりに、その何倍もの負の遺産を背負いこむこともあり得ます。

こういったケースを避けるためには、負の遺産も含めて全体の遺産状況がはっきりわからない場合は相続を放棄してしまうことです。
また、子供や配偶者・親兄弟など自分の相続人に迷惑をかけないためには、自分の借金や債務保証の内容を予め記録しておき、いざという時に相続人がわかるようにしておくことが重要です。

親戚で相続が発生し、相続放棄に同行した

役所からの電話で相続発生を知る

こうした中、つい最近私の親戚で相続が発生しました。
従兄の親が他界したのです。
しかも、問題だったのは他界した人がそれまでの10年程の間行方不明だったことです。
その10年程どこで何をしていたのか、暮らしぶりも含めて全くわかりません。

最期は、病院から連絡を受けた居住地の役所が従兄にかけてきた電話で知ったくらいです。
役所はネットワークを使うことで関係者の居所がわかるようです。
従兄は費用も含め関わりたくはなかったのですがそうもいっていられず、役所への届け出だけは行いその後のことは全て役所に任せてしまいました。

相続放棄手続き

問題は相続手続きです。
何をしていたかわからないということは、もしかしたら借金や債務保証をしていたかもしれないからです。

そこで、ある程度法律に明るい従兄は相続放棄の手続きを取ることにしました。
法定相続人は兄弟2人のみで、被相続人と相続人全員(兄弟2人)の住民票・除票や戸籍・除籍謄本などを取り寄せたところで、私も一緒に家庭裁判所に行ってきました。

記入する書類は予め家裁のHPからダウンロードし記入済みだったので、家裁の受付に行き受付待ちの番号を取ります。
周りを見ると、若い女性と小さな子供がやけに目につきます。
どうやら離婚関係の手続きの様です。
担当者に教えてもらいながら一生懸命書類に記入している様子を見ると、とても切ない気持ちになります。

我々の番になり書類をチェックしてもらうと、ものの数分で終了です。
切手と返信用封筒を用意しておいたので、問題なければ数日~数週間のうちに受理照明が郵送されるとのこと。
不備があったとしても受付られたので、そのまま単純承認にはならなくなり安心しました。
ただ、あまりにもあっさりとしていたので拍子抜けです。

そして、何と二日後には受理証明が従兄の元に届いたとのこと。
おそらく家裁に行ったその日の内に処理が完了したのでしょう。
午前中に行ったのが良かったようです。

法武装で自分の身を守る

今回のような事案は、知らなければそのまま単純承認してしまう危険性があります。
法律は、知っている人・利用できる人に有利に働く面があります。
昨年成立した民法改正案は、こういった法律を知らない弱者を少しは救済する内容が含まれています。
しかし、それでも日本が法治国家である以上自分の身を守るためには自分で法武装する、もしくは法律の専門家に相談する環境が必要でしょう。

弁護士に相談するとなれば高額な相談料金が必要になりますが、役所の法律相談会への参加に加え、弁護士によってはお試し相談として割安・もしくは無料で相談に乗ってくれるところもあります。
そして、現代はネットである程度調べることもできます(鵜呑みは危険ですが)。
知らないでは済まされないことが多く、逆に知っていれば逃れられる悲劇もあるので、心配事があればとにかく調べる癖をつけることが大事だと思います。

なお、私は法律の専門家ではありませんので、詳細は弁護士などの専門家や役所の法律相談会などで相談することをおススメします。
少しでも悲劇が起きないようにと思い投稿しました。

長くなってしまいましたが、本日もお付き合いいただきありがとうございました

スポンサーリンク