レオスキャピタルのひふみ投信が人気
投資信託への関心が高まる
今年からスタートしたつみたてNISAは投資対象が投資信託(以下、投信)に限定されていることもあり、投信が多くの人から高い関心を集めています。
また今月に入り株式相場をはじめとして世界中の金融市場が調整色が強めていることで、遅ればせながら参入しようと考えている人もいると思います。
しかし問題はどの投信を購入するか。
何せ投資信託協会が発表した2017年11月末現在の投信の本数は、不特定多数に販売する公募投信だけで6,217本。
その内で取引所で売買されるETFを除いた追加型株式投信は5,544本もあります。
ひふみ投信が人気を集める
そうした中、最近人気を集めているのがレオスキャピタルワークスが運用する「ひふみ投信シリーズ」。
著名なファンドマネージャーが社長兼CIOを努めると共にメディアにも露出。
運用者の顔が見えることやTVで紹介されたこと、実際の運用成績も極めて良好なことから運用額(純資産残高)も急速に増加しています。
残高の急増に伴い機動的な運用が難しくなる懸念があるくらいです。
特徴的なのは運用するファンドが1本のみであること。
その一本を販売チャネル毎に分けて販売することで、実際は3本の商品を販売しています。
そして、このことが投信のベビーファンド・マザーファンドを理解するうえで極めて分かり易い例になります。
投信のベビーファンドとマザーファンドを学ぶ
ベビーファンドとマザーファンド
運用会社が投信を運用する際は、下記図のように投資家から集めたお金を一旦まとめてファンドとしてプール。
そして、そのファンドが株式などを売買し保有。
投資家はファンドの持ち分を持つ形になります。
ひふみ投信と同様、運用するファンドが一本の「さわかみファンド」はこの形になります。
なおさわかみファンドは販売する商品も一本であり、「一つの運用会社・一つの運用ファンド・一つの販売商品」という珍しい形。
しかし多くの商品を販売する通常の運用会社では、下記図のように投資者から集めたお金を一旦まとめた後に別のファンドに投資、そしてそのファンドが株式などを売買し保有する形をとります。
下記図では一つのベビーファンドが一つのマザーファンドに投資していますが、実際は一つのベビーファンドが複数のマザーファンドに投資することもあります。
このようにやや複雑な形を取る理由は大きく分けて2つ。
①多くのファンドを運用すると保有する銘柄・投資対象などが被るケースがあるため、個別のファンドがそれぞれ市場で売買するよりもまとめて売買しその持ち分を保有した方が低コスト。
②同じ投資方針・投資内容の商品を、販売手法・販売先などに合わせて別商品として販売することが出来る。
です。
①は分かり易いと思います。
②に関しては、実際にひふみ投信シリーズが採用しているのでご紹介します。
ひふみ投信の例
レオスキャピタルが運用するファンドは1本ですが、下記表の通り投資家への販売は3本の商品になっています(直近純資産額は2/8現在)。
売買委託手数料・その他費用は直近決算の実績。
全く同じマザーファンドに投資する商品なのに、DC専用のひふみ年金は信託報酬水準自体が大幅に優遇されていることがわかります。
なおレオスが直接販売するひふみ投信では月2回の運用レポート配信や個別セミナーへの参加資格が得られると共に、保有が長期になると信託報酬水準が割り引かれます。
金融機関が販売するひふみプラスでは、他の投資家の投資分も含めた全体の純資産額が多くなると信託報酬が割引される制度があります。
ひふみ年金をiDeCoに採用している運営管理機関は2018/6/11現在でSBI証券、イオン銀行、松井証券、マネックス証券など10社のみ。
3月末にiDeCoプランをスタートした松井証券、6月初から追加ラインナップしたマネックス証券を加えて、それまでの8社から10社に取扱いが拡大しました。
松井証券、マネックス証券共に、制度上最低限必要な手数料以外は手数料がかからないので、SBI証券と並び低コストで資産形成できます。
ちなみにSBI証券のiDeCoプランでは定期預金などの元本確保型を除いたリスク性商品(投信)のなかで、ひふみ年金が2018年5月の購入額No.1商品になっています。
やっぱり大人気の投信。
なおiDeCoの制度に加え、公的年金制度や各運営管理機関(金融機関)の比較・年金のお得情報・お役立ち情報などに関しては、年金を知り将来に備えるで詳しくご紹介していますので、興味がありましたら覗いてみてください。

この3本の商品とマザーファンドの関係は下記のようになります。
投資者が投じたお金は、それぞれのベビーファンドを通して唯一のマザーファンドに全額投資され、全てのお金が集約されます。
そしてそのマザーファンドが市場で売買し有価証券等を保有。
各ベビーファンドはマザーファンドの持ち分を保有し損益が反映され、投資者は各ベビーファンドの持ち分を保有し損益が反映されます。
マザーファンドの運用成績はどのベビーファンドを購入しても変わりません。
しかし信託報酬やその他の費用はベビーファンド毎に異なるため、どのベビーファンドを購入したかにより投資者が得る損益は変わってきます。
ベビーファンドとマザーファンドの関係を利用する
本来、投資者からしたらこんな仕組みはどうでもよくコストを抑えてくれればそれでいいのですが、それでも利用することも出来ます。
それはまだ決算を迎えていない新しい投信を購入する際などに、信託報酬以外に負担するその他の費用をある程度推測できるケースがあるから。
信託報酬は目論見書や申込メモに数字が記載されますが、運用報告書などで過去実績を元に推測するしかありません。
投信の目論見書を見ると、その投信がどういったマザーファンドに投資する構造かがわかります。
そこで同じマザーファンドに投資している別の投信の運用報告書を見れば、どの程度のその他費用が必要になっているかわかることがあるからです。

ちょっと面倒でも、大切なお金と運用コストに関わることなので手間をかけてみてはいかがでしょうか?
ある程度推測できればラッキーです!
長くなりましたが、本日もお付き合いいただきありがとうございました。