若い世帯の実質消費が前年比マイナスなのは先行き不安の強い中で当然

hatena

若年勤労者世帯は実質消費を減らしている

景気回復も個人単位の手取り収入は減少中

世界的な景気拡大と2012年の衆議院解散を機に始まったアベノミクスで日本の景気は上向き。
直近やや調整しているものの株価も堅調に推移しています。
アベノミクスといっても実際は日銀による異次元緩和とバラマキ財政のみで、既得権益を崩すと同時に民間パワーを活用する規制緩和は全く行っていませんが…

そうは言っても、大企業中心ながら賃上げが実施され勤労者個人単位の名目所得は回復傾向です。
名目としたのは、あくまでも額面ベースで増えているからです。
厚生年金・国民年金といった年金や社保・国保といった健康保険、介護保険などの社会保障関連支出が給与の伸び以上に増加して、手取り収入は減少を続けているからです。

若手勤労者世帯の実質消費支出は減少

若手の実質消費支出は減少

そうした中、2/27付日経新聞朝刊経済面に、

消費、若年層は慎重
昨年の実質支出減
50歳以上は増加

と題し、物価上昇分を差し引いた実質ベースで、2017年の50歳未満勤労者世帯の消費支出が前年比マイナスになった記事を掲載しています。
気になったので総務省HPに掲載されている家計調査を見てみました。

家計調査が面白い

家計調査に関しては名前を聞いたことがあるという人は多いと思いますが、仕組みや中身を見たことがある人は少ないと思います。
家計調査とは、総務省からサンプリングされた人が支出を事細かに記録する「細かい家計簿」のようなモノです。

中身は統計的に処理されて、年齢別・収入別に支出内容を見ることも出来ます。
尤も、報酬は貰えるものの記録内容が相当に細かいので、副収入としてはあまり割に合わないような…
この家計調査の中で気になった点を下記投稿内で紹介していています。

家計調査が面白い 私が好きな統計の一つに家計調査があります。 総務省のホームページで統計データ→家計調査と進めば見ることができ、だいたい月末に更新されます。 家計調査とは総務省によりピッ...

実質消費が伸びたのは50歳~だけ

話は戻ります。
家計調査の「世帯属性別の家計収支」の勤労者世帯の説明を見てみると、物価上昇分を除いた実質ベースで消費支出は40歳未満世帯▲3.1%、40~49歳▲0.6%、50~59歳+0.7%、60歳~+5.4%となっています。
要は、実質的な消費が増えたのは50代以降の世帯だけです。
一方で、40歳未満世帯の減少率が目立ちます。

50歳を境に消費行動が変わる原因

50歳以降の消費が伸びる原因

原因は二つ。
子育てが一段落し妻がパートに出て収入を得ること。
社会保障関連支出の増加で個人単位の手取り収入は伸びませんが、奥さんも働きに出れば世帯として収入が増えます。
そして、子供が巣立って教育費負担が無くなれば、自由になるお金は劇的に増えます。

株価上昇に伴う資産効果。
日本では若年層世帯と比較し、中高年層世帯が富を多く持ちリスク資産も保有していることから、世界的な株価上昇の恩恵を受け財布のひもが緩んだようです。
50代では教育費負担が継続しても60代になればほぼ終わってるいることや、退職金が入ることも気が大きくなることにつながるのかもしれません。

50歳未満の消費伸びない原因

一方で、50歳未満です。
バブル崩壊以降に社会人になった層が大半で賃金が低く抑えられていることから、元々消費を控える傾向があります。
モノへの執着も低いようです。

日本の財政悪化が確実な中で年金や社会保障に多くを頼れず、将来不安が非常に大きく将来への備えを優先し目先の消費にお金を回しません。
至極当然でしょう。

但し、新聞には掲載されていませんでしたが、実は40代勤労者世帯の実質収入は前年比+4.6%と大きく増加しているのです。
ここまで大きく増加するためには世帯主の収入増だけでは説明できないので、恐らくは奥さんが働きに出る割合が増加したのでしょう。
それでも教育費負担増や将来への備えのために、お金を消費に回さず貯蓄する構図は同じです。

消費支出を増やし、経済の好循環に結び付ける妙案が思い浮かばない

若年層の消費支出を増やすには

私も属する50歳未満の若年層の消費支出を増やすのは簡単です。
将来不安を減らせばいいので、高齢者向け予算を大幅にカットすればいい。
早い話がこれ以上の財政悪化を防ぐため、年金支給水準の大幅削減、(後期)高齢者医療費自己負担率の引き上げ、介護保険などの自己負担率引き上げ、高齢者優遇税制廃止などの実施です。

若年層が不安なのは、いざ自分達がサービスを受けることになった際、現在よりもどれだけ水準が悪化しているかわからないからです。
これは、政府・官庁が上辺だけの数字を姑息にお化粧して真実を公表していないためであり、政府・官庁の責任です。

若年層は、100年安心とうたう年金制度があり得ない経済成長を前提にした砂上の楼閣であることを知っています。
膨張を続ける医療費や介護保険事業費などを賄いきれなくことも知っています。

高齢者支出を一気に削減すると何が起きるか

一方、上記のような高齢者向け予算を一気に大幅に削減すると何が起こるか?
それは、高齢者が消費を一気に絞ることで、高齢者向けマーケットがこれまた一気にしぼむことです。
現状、高額消費は金融資産を多く保有する高齢者を中心とした中高年層をメインターゲットにしているため、高額消費が落ち込むことで急激な景気悪化が避けられず税収の減少につながります。

そして、医療費などの支出に備えて高齢者がリスク資産の取り崩しに動けば、株価の下落や海外資産売却に伴う円高も発生するでしょう。
フロー面に加えストック面でも急速に悪影響が表面化します。

それでも、高齢者向け予算の削減が必要

結局、単純に景気への影響を無視した高齢者向け予算削減だけでは、日本経済の縮小均衡につながるだけかもしれません。
はっきり言って、私では劇的な効果をもたらす妙案は思い浮かびません。

しかし、日本がやらねければならないことははっきりしています。
今のままでは財政が持たないことは明らかです。
高齢者向け予算の劇的な削減は困難でも、景気への悪影響を見極めてギリギリまで削減することは必須です。

憲法改正が政治信念かもしれませんが、個人の政治信念よりも先にやらなくてはならないことがあるはずです。
憲法を改正しても国が衰退したら意味ありませんから。

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