住民税で上場株式の譲渡・配当所得を申告不要にする際は一部のみでも可能

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上場株式の配当・譲渡所得は、所得税と住民税で異なる課税方式が全国で可能になった

確定申告の季節

2/16から確定申告が始まります。
ちなみに、サラリーマン(給与所得者)が所得税の還付を受ける申告については既に受付中ですので、相談窓口が混雑しないうちに早めに済ませることをおススメします。
還付金受取も早くなります。

住民税と所得税で異なる課税方式を選択可能に

今回の確定申告の目玉は、株式の配当所得・譲渡所得に関して所得税と住民税で異なる課税方式を選択できることが明確化されたことです。
これまでは明確化されていなかったためこうした方法を選択可能な自治体がある一方、一部の自治体では特定口座で源泉徴収が完了していればそのまま確定申告を行わず(所得税を申告不要)に住民税も申告しない(申告不要)か、もしくは確定申告する(申告分離課税や総合課税)ことで住民税も自動的に申告する(同じく申告分離課税や総合課税)になっていました。
要は自治体により対応が違っていたのです。

それが明確化されたことで、今年からは配当金は総合課税、住民税は申告不要のように、所得税・住民税で異なる申告方式を選択することが全ての自治体で可能になりました。

そもそも、なぜ所得税と住民税で異なる申告方法を模索する必要があるかといえば理由は二つ。

配当控除の活用

配当控除の活用例

配当所得に関しては、特定口座で源泉徴収ありを選択していれば配当受取時に所得税・復興税で15.315%、住民税で5.0%の併せて20.315%が源泉徴収されています。
これは、課税所得が1,000万円でも500万円でも0円でも同じです。
しかし、基礎控除や扶養控除・社会保険料控除などの所得控除を差し引いた課税所得が900万円以下の場合は、配当控除と今回全国で可能になった住民税の申告不要制度を活用することにより、配当分に関して20.315%の税率を軽減することが可能になります。

例えば、配当金に関し「所得税を総合課税・住民税を申告不要」にすると、課税所得が330万円以下なら5.0%(195万円以下は他の所得の税額からも控除)、330万円超695万円以下は15.21%、695万円超900万円以下は18.273%という具合です。

配当控除活用上の注意点

実は今までも配当金を所得税・住民税ともに総合課税にして配当控除を活用する方法は使えたのですが、課税所得が695万円超になると税率が20.315%を超えてしまうので、それ以上の所得者がやると逆に損になってしまいました。
しかし、住民税を申告不要にすることでこの損をする課税所得のバーが695万円から900万円に上がります。

ちなみに、住民税を申告不要にする方法でも課税所得が900万円を超える「高所得者」が適用すると、課税所得が1,000万円までは30.683%、最高で49.44%まで上がるので注意しましょう。

国民健康保険税負担増の呪縛

国保加入者にはメリットが乏しかった

給与所得者は課税所得が695万円以下なら、以前でも総合課税扱いで確定申告をすることにより配当所得に関する税率を下げるメリットがあったのですが、専業投資家や配当金生活者・自営業者など国民健康保険加入者にはメリットは乏しいものでした。
なぜなら、国保税にかかる所得割が10%を超える水準であることに加え、その根拠になる所得を算出する際の所得控除が基礎控除以外ほとんど認められていないためです。
扶養控除や社会保険料控除も認められていません。

そのため配当控除を受けるべく確定申告をしても、ほぼほぼ収入から住民税基礎控除の33万円を引いて算出する課税所得の10%以上を所得割でもっていかれました。
結局、わずかな配当控除のために総合課税扱いにすべく確定申告するインセンティブは働きませんでした。
所得が増えるほど、軽減される所得税・住民税負担以上に国保税負担が増加してしまうケースが多かったからです。

今回の明確化で国保加入者に大きなメリット

しかし、住民税を申告不要にできるならこの国保税負担が増すという呪縛から解き放たれ、総合課税扱いにして確定申告することが可能になったのです。

住民税を申告不要にするためには

配当所得を申告しないとした住民税申告書

確定申告をしてそのまま何もしなければ、自動的に住民税も所得税と同じ申告方式になります。
税務署から自治体にデータが行くからです。
そのため、今回のように所得税と住民税で異なる申告制度にするためには、自治体に対して住民税に関する申告書を提出する必要があります。

フォーマットは自治体により異なり、「配当・譲渡所得を申告不要とする」のチェック欄を設けて申告不要にする場合はチェックする自治体や、備考欄に「申告不要制度を利用する」と記載する自治体もあるようです。
居住地の区民・市民税課などに問い合わせれば教えてくれるので聞いてみましょう。
聞くならまだそれほど忙しくない1月中がおススメです。

また、住民税に関する申告書を提出する時期に関してですが、5~6月の住民税決定通知書が送付されるまででいい自治体だけでなく、確定申告と同様に3/15までに行わなくてはならない自治体もあるので、ちゃんと確認しましょう。

申告不要制度は一部でも適用可能

確定申告する口座としない口座があってもいい

そもそも、特定口座(源泉徴収あり)の損益は確定申告してもしなくても構いません。
ということは、複数の金融機関の特定口座(源泉徴収あり)で取引しているならば、枠内に収まる分だけ確定申告し住民税は申告不要にすればいいのです。
例えば、課税所得が900万円に収まる分だけ確定申告して住民税を申告不要にすれば、配当控除を最大限に活用できます。
同時に、国保加入者は国保税負担の上昇を抑えることも可能になります。

確定申告した内、一部のみ住民税を申告不要にする方法もあり

例えば3社分確定申告したからと言って、3社分全てを申告不要にする必要はありません。
事業やトレードなどがうまくいかず収入が少ないならば、確定申告はしたうえで住民税の申告は課税最低所得の33万までに収まる分のみ申告し、残りは申告不要にしてしまうなど。
その際の還付税金や国保税負担減効果は計算してみてください。

居住地の担当部署に確認しましょう

私が居住する自治体の課税課に問い合わせたところ、上記の確定申告した内の一部のみ住民税申告不要制度を適用する方法は可能との返答を得ました。
しかし、こういう質問は初めてだったということで折り返しの電話待ちをしました。
自治体では複数の特定口座を確定申告をした場合はその全てで申告不要にするか、もしくは確定申告した口座全てで同じ課税方式を適用するかしか想定しなかったとのこと。

もし私が住民税申告に行くならば、内容を理解し回答してくれた担当者が直接対応してくれるようですが、いきなり行って対応してくれと言っても調べるために待たされたり違う対応を取られる可能性がありますので、やはり事前に問い合わせた方がいいでしょう。
何せ、明確化していないと自治体により対応が異なるので。

ちなみに、住民税申告書は住所・名前などの属性以外は空欄で持ってきてと言われました。
その場で一緒に作成してくれるとの優しいお言葉…

確定申告だけで完結してほしい

さいもんさんのブログにもありましたが、確定申告の段階で住民税の申告不要制度を選択できる措置を取ってほしいものです。
現在でも確定申告の第二表下部に住民税に関する事項を記入・入力する欄があるのですから。
国税庁と総務省がちゃんと連携すればできると思うのですが…
縦割りのお役所なのでどうでしょう…

最後に、私は税理士ではありませんので詳細は税務関係者によくご相談することをおススメします。

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