はれのひ事件はあまりにも気の毒
1/8に明らかとなった晴れ着の「はれのひ」事件。
代金を支払っているのに購入した晴れ着が成人式当日に届かない、レンタル晴れ着が届かない、着付けをしてもらえない、前撮り写真が届かない、など明らかになる被害は拡大中。
成人式という「晴れの日」にあまりにも残酷で気の毒な詐欺事件。
支払い方法によっては代金支払い拒否も可能
支払停止の抗弁権で対抗
通常こういった詐欺事件では、既に支払ってしまったお金を取り戻すことは非常に困難。
運営会社・代表者に資力は無いでしょうし、そもそも逃亡していて所在も不明。
隠し資産などを隠匿しているケースを除き、弁済に充てる資力があるケースはほとんどありません。
しかし販売業者と契約していてもまだ代金を支払っていない場合には支払いを拒否できるケースがあります。
それが支払停止の抗弁権を援用する方法。
支払停止の抗弁権とは、
①割賦販売法に基づく権利
②販売・サービス提供業者に対する抗弁権を有している
③支払総額が4万円以上(リボルビング払いの場合は38,000円以上)
④支払方法がローン提携販売の場合は2か月以上の期間に渡り3回以上、包括信用購入あっせんの場合は2か月以上の期間による支払い
⑤割賦販売法第三十五条の三の六十に該当しないこと
です。
抗弁事由としては商品・サービスの提供がない、契約内容と違う、明らかな瑕疵がある、などで広く認めるべきと定めらています。
また上記⑤は営業性の決済や海外事業者に対する決済、不動産に関する決済、国・地方公共団体等への決済など。
クレジットカードでの決済も一部適用される可能性
契約したものの代金は後払いのケースを想定しておりクレジットカード決済も該当。
但しポイントは適用条件にある④の支払期間が2か月以上という点。
そもそもが割賦販売法に基づくためですが、実はクレジットカードの通常の翌月一括払いは含まれません。
分割払いに加え、ボーナス一括払いは2か月以上先のことが多いので該当する可能性が高くなります。
しかし通常の翌月一括払いは締め日から支払いまでが最長で55日程度のケースが多いため(支払停止の抗弁権援用回避のためわざとなのか?)。
よく「詐欺などにあってもクレジットカードで決済をしていれば、まだ決済用銀行口座から引き落としされていない代金は無条件に支払わなくてもいい」などという伝説がありますが、通常の翌月一括払いでは免れることは困難。
ましてや、既に決済用銀行口座から引き落とし済みの代金をカード会社が返金してくれることもありません。
支払停止の抗弁権を援用するには
分割払いやボーナス一括払い、また信販会社などと割賦契約中で今後の支払いを止めたいときは以下の方法を取ります。
販売会社・サービス提供会社への連絡
現在でも営業しているのであれば、まずは業者と連絡をとること。
その場で問題が解決すれば、そもそも支払いを停止する必要はありません。
カード会社・信販会社等に連絡
業者と連絡がつかない、もしくは連絡がついても解決しない場合は直ぐにカード会社等に連絡します。
クレジットカードで決済した場合には、カードに付随するカード保険で解決となるケースもあります。
カード会社等から書類の提出を求められたら速やかに対応します。
不明な点など
それでも不明な点などが発生したら、消費者センターや自治体、弁護士などの法律の専門家に相談するのがいいでしょう。
取り得る自衛手段
かといってあえて金利のかかる分割払いやリボ払いを利用すると、手数料という名の金利を支払わなくてはなりません(どうしても不安ならありですが…)。
自衛手段としては基本的ですが、
①怪しい業者とは契約しない
②長期前払いには応じない
③長期前払いを要求する業者とは契約しない
④前払いにすれば割り引くとの話が出たら契約しない
などでしょう。
入金を急がせた旅行代理店の「てるみくらぶ」や、前払いにすれば代金を割り引くとの話で入金を急がせた建築請負の「アーバンエステート」などの例を見れば明らか。
ましてや現在は異次元金融緩和政策・マイナス金利政策の下で企業の資金繰りは好転。
前払いを急がせる業者はそういった状況下でさえ銀行に信用されていないといえるでしょう。
自分だけはひっかからないなどとは思わず、慎重に行動しましょう。