昔は無配当の株式は借入時の優良担保とみなされなかった

dividend

投資家による配当志向

配当支払いが高水準

株式投資をして利益を得る方法は、売却益を得るか配当を得ることです。
お金に色はありませんから、片方でも両方でもより儲かればいいのです。

12/8の日経新聞朝刊一面は、

配当 過去最高の12.8兆円
配分比率3割横並び

と題し、今年度の配当総額が過去最高になることを取り上げています。

記事の中では、
配当が増加しているのは株主配分強化を求める投資家の意向。
全体としてみれば、欧米企業(39%)と比べ配当性向が見劣りする。
尤も、欧米では配当をゼロにしている企業も多い。
一方で、日本企業は無配企業が極端に少なく2割~3割に集中し横並び。
などの点をあげています。

お金を保身のためにため込む経営者たち

利益を配当に回さず、かといって投資に使って利益成長に結びつけるわけでもなく内部留保に回すならば、投資家は「株主に還元しろ」と要求します。
極めて真っ当です。
金融危機や事業環境の急速な悪化などへの備えとしてある程度の資本は必要ですが、必要以上にため込むことは資本の効率的活用の観点からは無駄です。

日本企業のROEが低いのも、潰れないことを第一にして無駄に利益をため込むためです。
経営者が銀行や市場からのチェックや介入を嫌がる習性があり、且つ銀行は何より企業が潰れて貸し倒れになるよりは内部留保を過剰にため込んでも潰れないこと優先してきました。
また、市場も株式が紙くずになるよりは内部留保の過剰蓄積を暗に認めてきたからです。

ちなみに、ROEは 税引後利益÷株主資本 です。
上記式の通り、資本とは株主資本のことであり経営者のものではありません(ため込んだ利益は株主資本に計上される)。

無配株は適格担保にならなかった

銀行で借入を行う際には、超優良企業などを除き担保提供を求められることが殆どです。
担保には不動産や預金などが一般的ですがもちろん有価証券もあり、それぞれ時価に既定の掛け目をかけて評価します。
一般的には不動産で70~80%、国債で90~95%など。

そうした中で、株式は価格変動率が高いので50~70%程を適用することが多いようです。
但し、以前は配当を出しているという条件がありました。
銀行は配当を出さない企業の株式を優良な担保としてみていなかったのです。

私もサラリーマン時代、取引先が担保として差し入れていた株式が一時的に無配になったことで担保不足に陥り、追加担保の差入折衝を行った経験があります。
どんなにピカピカの企業でも、無配は許さないという審査部門を中心に頭の堅い時代でした…

投資するか株主還元に回すかは、事業環境と経営者の質次第

安定配当という言葉がありますが、赤字になっても配当することは悪名高い毎月分配型投信と同じタコ足配当です。
株主に報いる方法は、業績不振や厳しい資金繰りの中で配当を出すことではなく、事業を立て直し市場の評価(株価)を上げて堂々と利益から配当を出すことのはずです。

また、配当に回すよりも投資に回してより高い収益性を望め株価が上昇するならば、無配でも一向に構わないはずです。
アップルは最近になり現金の積み上がりがハイペースとなったため配当を出すようになりましたが、高成長を続けるグーグルのアルファベットやアマゾンなどは無配です。

配当とは利益の使い方の単なる一つの手段であり、株主の利益になるならば高成長の見込める投資・M&Aに使うもよし、自社株買いに使うもよしです。
低成長で大きく業績が伸びる期待には乏しいものの、これまでの事業の成果で安定したキャッシュフローを稼げるならば安定配当政策もありです。
しかし、「他社が配当性向を40%にするから自社も」という考え方では経営者は失格です。

配当政策に縛られて、収益の見込める投資機会を失うことほどもったいなくアホな経営はありません。
もちろん、配当政策に縛られ無理な配当をして、資金繰りや財務内容の悪化を招くことも同様です。
配当政策・投資政策は企業の最重要決定事項であり、経営者の質が最も試される課題です。

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