日銀は株買いをやめない(やめられない)のではないか?

円

日銀が株を買い続けている

今回はちょっと長目の話になりますが、現在の日銀の政策を見つめ直すにはいい機会だと思ったので投稿しました。

ご存知の通り、日銀は2010年以降国内株ETFを買い続けています。
その規模は、
2010年10月決定 2011年末までに4,500億円
2011年3月決定   2012年6月末までに更に4,500億円
2013年4月決定   年間1兆円(第一次バズーカ)
2014年10月決定 年間3兆円(第二次バズーカ)
2016年7月決定   年間6兆円(倍になったのに印象が薄い…)
です。

ちなみに、日銀は今年9月末現在で15兆8千億円(時価ベース)を超える国内株ETFを保有しています。
また、今年は12/11までで既に5兆6千億円余りを買っています。

購入決定時の理由は?

上記5回を決定した際の理由は以下の通りです。
読むのはちょっとしんどいかもしれませんが、突っ込みどころが満載ですのでぜひ読んでみてください。

短期金利の低下余地が限界となっている状況を踏まえ、金融緩和を一段と強力に推進するため、長めの市場金利の低下と各種リスク・プレミアムの縮小を促すこととし、臨時措置として(中略)基金をバランスシート上に創設する。

今回の地震(東日本大震災のこと)によって、わが国は、地理的にも広範囲な被害を受けており、当面、生産活動の低下が見込まれるほか、企業や家計のマインドの悪化も懸念される。
(別パラグラフで)企業マインドの悪化や金融市場におけるリスク回避姿勢の高まりが実体経済に悪影響を与えることを未然に防止する観点から、リスク性資産を中心に資産買入等の基金を5兆円程度(国債等も含むため)増額し…

資産価格のプレミアムに働きかける観点から、ETFおよびJ-REITの保有残高が(中略)増加するよう買入を行う。

短期的とはいえ、現在の物価下押し圧力が残存する場合、これまで着実に進んできたデフレマインドの転換が遅延するリスクがある。(中略)こうしたリスクの顕現化を未然に防ぎ、好転している期待形成のモメンタムを維持するため

英国のEU離脱問題や新興国経済の減速を背景に、海外経済の不透明感が高まり、国際金融市場では不安定な動きが継続している。こうした不確実性が企業や家計のコンフィデンスに悪化につながることを防止するとともに、わが国企業および金融機関の外貨資金調達環境の安定に万全を期し、前向きな経済活動をサポートする観点から…

ステートメントの内容をよくよく見てみると

株式ETF購入の当初の目的は不確実性の除去だった

いかがですか?

多くの記述のある「懸念」などの不確実性を除去することに主眼が置かれていることがわかると思います(カッコよく言えば、フォワードルッキングの政策)。
そして、資産価格のプレミアムに働きかけることによって政策を達成しようとしています。

もちろん、その前段階として金利に働きかけてきたのですが、2010年の時点で既に限界を感じたことから、量・質にも働きかけるようレジュームチェンジを行っています(ホントは2001年3月にも量的緩和政策を実施しています)。
但し、「臨時措置」です。
そもそも、短期金利の低下余地が限界に達したから株を買い始めましたが、マイナス金利導入で短期金利は低下しています…

目的が変化している

ここで気が付くことがあります。
2010年は、金利低下が限界と判断する中で金融緩和を推進するため、臨時措置として株を買うことを決定しています。

2011年は大震災後に極端なリスクオフが進行することを未然に防ぐため、枠を増額しています。

2013年は2年で2%の物価上昇を達成するため、資産のプレミアム(要は株・不動産が上がるという期待)に働きかけようと枠を増額しています。

2014年は好転している期待形成(物価や株・不動産が上がるという期待)の流れを維持するため、枠を増額しています。

2016年はブレグジット国民投票直後で国際金融市場が混乱していたので、外貨を始め資金調達能力に万全を期すため、枠を増額しています。

あれ?
枠増額の理由が変わってきていますよね。
枠増額は既定路線で理由は後付けのような…

そもそも、短期金利低下の代替で臨時で株を買うことを決めたのですから、マイナス金利政策導入により短期金利が低下した時点で臨時措置を解除してもいいのでは…

今後日銀はどうするのか?

株式ETF購入を止めるのはハードルが高い

短期金利が低下しても、警戒したあらゆる懸念が払しょくされても止めない以上、日銀はこれまで掲げてきた懸念払しょくを理由に株買いを止めることはないのでは?

では、いつやめるのか?
私はやめない(やめられない)可能性が上昇しているのではないかと考えています。
株買いは既に手段ではなく目的になっているからです。
更に問題を難しくするのは、国債に関しては買うのをやめれば償還で自然減になりますが、株はそうはいかないことです。
売らなくてはならないからです。

日銀の誤算

当初はここまで枠・残高が急増するとは考えていなかったでしょうし、出口としてGPIFが日銀保有株を引き取ることを想定していたのではないでしょうか(リスク資産割合増の方針を立てオペも完了しているので既に不可能です)?

いろいろと意見はあると思いますが、逆に出口として何かいい方法はないものでしょうか…
そうはいいつつ、もし株式ETF購入枠の削減を検討との記事が出ただけで最低10%、場合によっては30~40%の下げも覚悟かも…

最後までお読みいただきありがとうございます。

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