REIT指数に何とか持ち直しの動き
景気への影響が大きい不動産市況とその温度を示すREIT指数に日頃から注目しています。
そのREIT指数は年初来のパフォーマンスがTOPIXなどと比較して冴えない状況でしたが、7月の半ば以降やや持ち直しの動き。
REITに関しては米欧による金融引き締め警戒で発生したグローバルな資金流出。
その他にREITを多く保有する毎月分配型投信を金融庁が目の敵にしたうえ、地域金融機関が保有する個別REITの保有理由を厳しくチェックするなど、政策リスクで下げていた面もあるようです。
野村證券がREITの新指数を算出開始
野村高利回りJリート指数とは
指数が軟調な動きを示していたことで逆に利回り面からは割安とみる向きもあります。
そうした中で野村證券が昨日ニュースリリースを出し、高利回りREITで組成した指数の算出を始めたことを発表しました。
「野村高利回りJリート指数」です。
現在上場するREITは全部で59本。
その内で運用会社が公表している予想利回りの高いほうから30~40銘柄を抽出。
更に時価総額・流動性などの定量指標を使いウエイトを決定し、1銘柄あたりの組み入れ上限を5%に規制、特定銘柄への過度な集中を防ぐスマートベータ型となります。
組み入れ銘柄は年に1回変更。
今後はこの指数に基づいたインデックス投信やETFも発売されるのでしょう。
ちなみに昨日の日経新聞夕刊の記事によれば東証に上場するREIT全銘柄の平均利回りは4%前後であるも、この新指数の8月末の利回りは4.5%程度。
過去5年の騰落率も東証REIT指数を2割程度上回るとのこと。
野村高利回りJリート指数の注意点
注意点として過去5年では全銘柄のパフォーマンスを上回っていますが、リーマンショック時のように相場が大荒れの局面では、親会社の信用度が低い銘柄がそうでない銘柄よりも売られたケースもあり、常に全銘柄のパフォーマンスを上回るとは限らないことです。
個別REIT、REITのインデックス投信などを購入している投資家にとっては新たな選択肢になりそうです。
株価指数が多く公表される理由
株価指数を算出しその指数を基にインデックス投信を組成したり投信名に指数を採用すると、指数算出元にライセンス料を支払います。
そのため有名な指数算出元には常に安定して莫大なライセンス料が転がり込みます。
例えば日経平均株価は日経新聞社、MSCIはモルガンスタンレーなど。
そのため、ライセンス料が高い指数を避けて安い指数を採用する動きも見られ、最近はMSCIを使わずにFTが算出する指数の商品が増加しています。