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自動運転とEV化が部品企業の淘汰を加速~急速なコモディティ化が進行中

自動運転とEV化

自動運転研究には莫大なカネが必要

5/5の日経新聞朝刊によると、

5/3米自動車部品大手のデルファイ・オートモーティブは、ガソリンエンジンなど自動車動力関連部門を、上場企業としてスピンオフ(分離独立)する

と発表したとのこと。

知っている人も多いと思いますが、デルファイはもともとGM(ゼネラルモーターズ)の部品開発部門で1999年にGMからスピンオフされた部品大手。
日本でいえばトヨタ系のデンソーやアイシンといった立ち位置ですが、2009年のGM破綻を経てより独立色が強くなっています。

発表によるとスピンオフされるのはガソリン・ディーゼルエンジンのシステムなどを開発する部門。
16万人ほどの従業員の内の2万人が所属しているようです。

このスピンオフの狙いの背景にあるのは、莫大な費用の掛かる自動運転技術の開発のために資金を確保する必要性。

自動車のコモディティ化が急速に進行

内燃エンジン時代は新規参入が困難

現在自動車産業では各社が自動運転関連の開発に莫大な予算を投じていると同時に、動力源もガソリン・ディーゼルなどの内燃動力系から、EV(電気自動車)系へのシフトが始まっています。

ここで重要なことは内燃エンジンではものすごく多くの部品が必要になり、且つそれぞれの部品には超高度な技術が注ぎ込まれていること。
更に開発・組み立てにも超高度な技術が必要。
そのため簡単には自動車製造には参入できず。

部品自体だけでなく組み立てもノウハウの塊だよ

レトロなスタイルで一部に人気の高い光岡自動車も、車のベースは日産のマーチを使ったりしています。

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自動車のコモディティ化で新規参入障壁が下がる

ちなみにガソリン車は車全体で必要部品点数が約10万点。
その内エンジン関連で1万~3万点といわれています。
しかしEVではインバーターを加えてもモーターなど動力関連には100点ほどですし、それらをメーカーから購入することも可能。

そのために資金力やノウハウに乏しい中小規模のメーカーや、家電のようにファブレス企業でさえ参入が可能になります。
PCやスマホのような状況になる可能性もあります。
ということは、これまで高度な技術力で我が世を謳歌した部品メーカーに、困難な時代が到来するということ。

蓄積したノウハウが価値を失くす…

デンソーやアイシンなどのようにトヨタと一体になって新技術を開発しているところを除くと、独自技術で独立を貫くためには膨大な資金力と光る技術が必要。
もちろん自動車には動力以外にもサスペンションなど引き続き高度な技術を必要とする部門もあります。
しかしモーターに代替される変速機の需要も減るなど厳しい状況に変わりはありません。
エンジンに相当数搭載されているベアリングも影響が甚大。

 

NSKとかヤバいよね…

ちなみに私が気になるトヨタのCH-Rは国産のショックアブソーバーではなく、ザックス製を使っているみたい。

 

自動車産業のパラダイムシフト

これまでも要求は厳しい一方でも何とか系列による力が働いていた自動車部品業界ですが、大きな淘汰の波はすぐそこにまで来ています。
自動車部品業界は子会社、孫会社、ひ孫会社とすそ野が広く、従事する従業員の数も膨大なだけに心配。

ダイムラーが世界初の内燃エンジンを開発し、フォードがT型フォードで自動車の量産化に成功、本田がCVCCエンジンで不可能と言われたクリーン性能を実現。
その後トヨタがカイゼンで絶え間のないコストダウンを実現、と100年以上にわたって続いてきたガソリンエンジンによる自動車産業は、自動運転とEV化、その他動力化で壮大なパラダイムシフトを起こしつつあります。

100年に一度の大変革期だよ

そしてそれは部品メーカーをも巻き込んで進行中です。